情報伝達から顧客体験へ--変化する企業サイトの役割 - (page 2)

マスメディアを補完する携帯電話

 次に、ケータイWGリーダーを務めるワールド・ファミリーの村田幸哉氏が、コミュニケーションの観点から企業のモバイルへの対応がどう変化しているかを説明した。

 ネットに接続できる携帯端末が8500万台にのぼり、ワンセグの登場で、放送と通信の融合が進んでいる。そのような現状で、企業とユーザーのコミュニケーションは双方向になっていると村田氏は述べた。

 「テレビは企業からの一方通行でリーチする媒体でした。ワンセグの登場で、今後は双方向コミュニケーションの領域が必ず発生してくる。ワンセグ放送からそのまま購買に繋がるのではないかと興味をもっています」(村田氏)

 従来のマスメディアによる画一的なメッセージだけでは効果が低い場合、モバイルが補完メディアになってきている。プロモーションから即、購入するという、ユーザーが抵抗なくアクションできる環境が携帯端末によって可能になるというのが村田氏の考えだ。

 「PC広告にくらべてモバイル広告の市場はまだ安定していません。携帯端末はアクションを起こしてもらう“刈り取りメディア”として力を発揮すると考えられます。もう少し多様性が出てくればコミュニケーション、キャンペーンに使えるメディアになるでしょう。普及条件は整っています。メディアミックスでの活用が携帯電話は広がると見ています」(村田氏)

時流の変化とともに変わるウェブ担当者の役割

WEBプロデューサー育成プロジェクトリーダーの田実日出翁氏 WEBプロデューサー育成プロジェクトリーダーの田実日出翁氏

 ウェブサイトが多様化する中、人材の育成はどのようになってきたか。WEBプロデューサー育成プロジェクトリーダーを務める日本経済広告社の田実日出翁氏は、育成講座で浮き彫りになってきた担当者たちの変化を報告した。

 ウェブサイトは、企業情報を伝えるだけのものから、さまざまな目的を持つものへと変化してきた。企業のブランドを作り、それを成長させるような役割も担うようになっている。その結果、企業のウェブプロデューサーの興味はサイトの運営方法に移っていると田実氏は述べた。

 「これまでは、サイトの制作、契約、発注など、サイトを作るための実務ノウハウを講座で提供してきましたが、最近では効果の高い企業サイトを作る運営方法へと内容が変化してきています。2007年はサイトの投資効果が重要視されています。ウェブプロデューサーたちからは、企業サイトがどれだけ業績に貢献したかを社内で説明できるようにしていきたいという要望を強く受けています」(田実氏)

 2006年までは作り手側の思いが重視されていたが、2007年はユーザーからどう見えるかという点に関心が移った。制作会社に任せた部分を自分たちで勉強したいという意欲も見られるという。

 では、ウェブプロデューサーとして具体的に求められる人物像はどのようなものだろうか。

 プロデューサーの業務はこれまでサイトの運用が重視されていたが、情報提供をいかに上手にしていくかが求められるようになってきたという。複数メディアの活用、ユーザー集めについてもウェブ担当者の仕事になっている。求められる人物像とは、戦略的な思考ができる人だと田実氏は答えた。

 「社内外とコミュニケーションできる能力、広い専門知識、マーケティング動向への理解、最新技術への対応、すべて必要です。スーパーマン的なものになってしまいますが、コミュニケーションとインフォメーション、深くなくても両方の知識が必要になってきます。今後、育成講座で提供していきたいですね」(田実氏)

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