成功するモバイルサービス開発の秘訣

永井美智子(編集部)2007年07月24日 12時04分

 パケット定額制の普及などにより注目が集まるモバイルビジネス。モバイル業界で活躍する事業者たちはどういった点に注意しながらコンテンツやサービスを開発しているのだろうか。「New Industry Leaders Summit 2007 Spring」において、今注目のモバイルベンチャー3社の代表が登場し、開発の現状と今後の展望について語った。

 スピーカーとしてCELL代表取締役副社長の坂本義親氏、グリー代表取締役社長の田中良和氏、エフルート代表取締役社長の佐藤崇氏が登場。モデレーターはシーエー・モバイル専務取締役の小野裕史氏が務めた。

 CELLは2001年に創業したモバイルコンテンツ制作会社。大学で声楽を学んでいた坂本氏がドワンゴ社の着メロサイト「16メロミックス」(現dwango.jp)のコンテンツを作るために創業した会社だ。現在では着うたやFlashを活用したゲームなどモバイルに必要なさまざまなコンテンツを制作しており、ディー・エヌ・エーの「モバゲータウン」などに提供している。従業員は現在200名程度という。

CELL代表取締役副社長の坂本義親氏 CELLの坂本氏によれば、コンテンツを海外の端末メーカーなどにも提供しているという

 坂本氏がコンテンツを作る上で意識したのは、ユーザーが循環する仕組みを作ることだ。たとえばFlashゲームでは、ゲームをクリアすると得点がランキングで表示され、ほかのユーザーたちと競うことができる。「ランキングでより上位になろうとユーザーが繰り返し遊ぶことでトラフィックが生まれる」(坂本氏)。また、ここにコミュニティを作ることで長く遊んでもらえるようになるという。

 また、常に意識しているのは「キレイ・カンタン・スグデキル」という点だ。携帯電話の容量が上がり、Flashの大きさが20Kバイトから100Kバイトに増えたときにも、ライトユーザーでもすぐに遊べるライトコンテンツという点にこだわり、グラフィックの表現をゆたかにすることでユーザー体験を向上させた。できることが増えても、ユーザーが利用しにくいような複雑なものになってはいけないという考えだ。

2006年末からモバイル検索の利用量が急増

 エフルートは2003年に創業したモバイルサービス事業者で、2007年6月に社名をビットレイティングスから変更した。検索エンジンを中核としたポータルサイトの運営、公式コンテンツの提供、モバイルサイトへの広告配信の3つを主な事業としている。

nils_efroute.jpg エフルートの佐藤氏はモバイル検索について、キラー機能をつくるよりも、さまざまな機能を追加してユーザーの拡大を図っている状況だとした

 中でも注力しているのがモバイル検索サービスだ。NTTドコモの検索サービスと連動したことで、直近の1年間におけるドコモユーザーの検索量が大きく増えているという。検索ユニーククエリ数をキャリア別に見ると、1年でau以外のユーザーの検索量が50倍に伸びた。また、総検索量が2006年末から急増しているといい、2006年8月と2007年3月の総クエリ数を見ると6倍近くに伸びているとのことだ。

 ただしPCユーザーに比べて、モバイルユーザーは1単語で検索することが多く、複数の単語を入力して絞り込むということが少ないという。このため、いかにすばやくユーザーが求める情報にたどり着けるようナビゲーションするかがサービスの鍵になるとした。

 また、モバイルサービスの一番の魅力として、ユーザーの裾野が広いことを挙げ、サービスがヒットすると一気に広がる爆発力があると指摘。今後は、現在モバイルでサービスを提供していない企業が急に参入して、これまでのモバイル業界の常識を覆す可能性があるとした。

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