Hurley氏は、何度か追及されたのちに、外部の者がパスワードで保護されたコンテンツを取り締まる方法はないことを認めた。ただし、投稿された動画のうち非公開設定されているものは「ほとんどない」と釈明した。また、YouTubeでは成人向け、および暴力的表現を含むコンテンツを禁じるガイドラインを施行していると主張し、「われわれのシステムで起こるあらゆる問題に対処するため、技術開発を積極的に行っている」と語った。
この公聴会では、いわゆる「ネットの中立性」に関する法案についての議論も展開された。民主党議員はこの法案の制定を以前から求めているが、共和党議員は不要な規制だとしてこれに反対している(ネットの中立性支持派は、ネットワーク事業者が自分たちの回線を流れるコンテンツに優先順位をつけたり、コンテンツ企業に対して割増料金を請求したりすることを禁じるべきだとしている)。
「議会は、さまざまな人たちの声をこれまで通り多くの人たちに届けられるよう、必要な対策を取るべきだと思う」とAnna Eshoo下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は述べ、Hurley氏に対して、「インターネットが誰に対しても平等に開かれていること」がYouTubeのようなサービスにとってどれほど「大きな促進要因になっている」かを説明するよう求めた。なお、YouTubeの親会社のGoogleは、ネットの中立性を義務づける法案を推進する、有力な運動団体の1つになっている。
一方、Cuban氏は、現在ほとんどのブロードバンド接続に使われている同軸ケーブルや電話線といった「古臭い技術」が米国から一掃されれば、ネットの中立性をめぐる議論はそもそも不要になると主張した。こうした方式によるブロードバンド接続では使える帯域に制限があるため、大幅な速度向上が可能なネットワークへの転換が必要だと同氏は訴え、具体的には、各家庭で1Gbpsの通信が可能になる光ファイバーネットワークへの移行に注力することを求めた。
「残念ながら、今のブロードバンド環境では、あらゆる人のために十分な帯域を確保することはできない。現状では、インターネット動画がHDTVに取って代わるなどという構想はお笑い草でしかない」とCuban氏は議員に向けて語った。
John Shimkus下院議員(イリノイ州選出、共和党)はCuban氏の考えに同調し、ブロードバンドの「供給」を増やすことがインターネットの「渋滞」を回避する鍵だと指摘した。
公聴会に出席した議員は、これまでの間に動画サービスで起きた変化について、口々に驚きを示すとともに、公聴会に招いた企業幹部たちがこの発展に大きく貢献したことを認めた。たとえば、Markey議員は、TiVoがいかにして「自分の生活を一変させた」かについて語り、Hurley氏を紹介するときには、YahooのJerry Yang氏、Amazon.comのJeff Bezos氏、GoogleのLarry Page氏とSergey Brin氏といった有力IT企業の創業者に匹敵する「歴史に名を残す人物」だと称えた。
初めての公聴会にピンストライプのダークスーツという姿で臨んだ当のHurley氏も、自らが共同設立したYouTubeが著名な人たちの生活に果たした大きな役割を認める発言をした。最初の証言の前に、「この公聴会で、ミスをしないよう気をつけたい。なぜなら、仮にしくじった場合、YouTubeにその映像が掲載されてしまうかもしれないからだ」と軽くジョークを飛ばした。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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