SNSが中古車市場を変える?--「中抜き」の個人間取引に挑むトロイカ - (page 2)

永井美智子(編集部)2007年04月09日 20時44分

改造車もファンがいれば高く売れる

 オークションでの取引価格も独特だ。トロイカは店頭での販売価格と、業者向けオークションでの取引価格を元に、トロイカ オークションにおける売買の上限価格を車種ごとに設定する。「店頭よりも安く、オークションよりも高い価格を設定する。売り手と買い手の双方にとってメリットがある」

 「日本初となる個人間取引市場の相場価格を作っていきたい」

 個人間での取引ができることで、売り手としては中古車販売店に引き取ってもらうよりも高い値段で車を売ることができる。改造を加えている車の場合はなおさらだ。

 販売店が中古車を下取りする場合、改造が加えられている車の査定は低くなる。これは、手が加えられていない車のほうが売りやすいからだ。しかし個人間取引であれば、その改造を気に入ってより高い値段をつける買い手が出てくる可能性がある。ユーザーはコミュニティを自由に作成できるため、ここで同じ趣味のユーザーを探すことが可能だ。

 トロイカでは改造車に関しては取引の上限価格を設けず、買い手と売り手に価格を任せる考えだという。4月時点でオークション機能は搭載されておらず、5月からの開始を目指す。

整備工場のビジネスも変える

 さらにトロイカでは個人と個人を結びつけるだけでなく、車の持ち主と自動車整備工場を直接つなぐことで業界を変えようとも目論んでいる。これまで自動車が故障した場合、持ち主は自分がその車を購入した販売店に持ち込んで修理を依頼するのが一般的だった。販売店は提携先の整備工場に修理を発注して、その中間マージンを得ていた。この中間マージンがなくなれば、利用者はもっと安く車を修理できるのではないか――大橋氏の発想はここにある。

 トロイカ オークションでは、ユーザーが自分が住んでいる場所を登録すると、その周辺にあるトロイカの提携工場や保険代理店などが地図上に表示される。ここからユーザーは直接修理や点検の依頼、保険の見積もりなどを依頼できるようになっている。

 トロイカは提携工場などから、店舗情報の掲載料を受け取る。金額は1店舗につき月額1万500円。これがトロイカの大きな収益源となる。提携工場はユーザーに対して「今ならオイル交換半額!」といったキャンペーンを展開できるようになるため、新たなビジネスが可能になると大橋氏は話す。

 トロイカの収益源は、提携工場からの店舗情報掲載料のほか、車の売買が成立した場合の成約料(1件につき3万1500円)、それにサイトへの広告掲載だ。

 トロイカ オークションにはブログ機能があり、動画で自分の車を紹介することも可能。動画はYouTubeとAmeba Visionに対応している。

 このほか、ユーザー間でメッセージをやり取りする機能も存在する。このため、トロイカ オークションを通さずに車を売買することもできてしまう。この点については規制しない方針という。「トロイカ オークションにとっては登録された情報とユーザーこそが財産。制限はできるだけ設けたくない」(大橋氏)。この場合、5250円を支払えば整備手帳を引き継げるようにしている。

 今夏には、オンライン上で自動車のパーツを販売するECサイトとも提携していく考え。ユーザーはトロイカ オークション内でパーツを購入し、その取り付け見積もりを複数の整備工場に依頼できる。ユーザーが選んだ工場にECサイトから直接パーツが配送される仕組みにするという。ここでも販売店を中抜きし、ユーザーのコスト負担を下げていく。

 中古車情報サイトとしては「カーセンサー.net」を運営するリクルートや、「Goo.net」を運営するプロトコーポレーションなどが大手だ。しかし両社とも、中古車販売店からの広告を主な収益源としていることから、「販売店を中抜きにするような個人間売買の分野には参入しにくい」と大橋氏は見る。

 一方、オークション最大手のYahoo!オークションやSNS最大手のmixiなどはジャンルを絞っていないことから、専門領域に特化した強みがあると話す。「レストランも、昔は寿司やラーメン、ハンバーグなどの料理を1つの店舗で出すところが人気だった。しかしだんだん舌が肥えてくると、消費者は専門店に行くようになる。ウェブのサービスも同じだ。総合力ではかなわなくても、中古車カテゴリでは負けない」

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