Forrester ResearchのアナリストJames McQuivey氏は、「この問題はSteve Jobs氏に委ねるのがよい。Jobs氏は、人の関心を集める方法も興味をそらす方法も心得ている。欧州からのDRMに関する要求について『FairPlayを公開して欲しいだって?僕はFairPlay自体が不要だと思っているよ』と返答しているのだ」と述べた。
Jobs氏はDRM技術のFairPlayを公開するという考え方について賢明ではないとしている。技術の仕組みを公開すれば、そのハッキング手法も登場しやすくなるためだ。Appleはレコード会社と交わした取り決めのなかで、 FairPlayのセキュリティが侵害された場合、数週間以内に対処することが課せられているという。Jobs氏によると、Appleが対応し損ねた場合、レコード会社はiTunes Storeでの楽曲販売を中止することができるという。
欧州規制当局が、iPodユーザーはiTunesに縛られていると主張していることに対し、Jobs氏は、iPod1台に収められている楽曲のうち、iTunes Storeで購入したものは約3%に過ぎないというAppleの試算を引用して反論した。残りの楽曲は、コピー対策技術が施されていないCDをリッピングしたもので、コンピュータや他社製のMP3プレーヤーでも共有されているとJobs氏はいう。
Jobs氏は、「どうしたら4大レーベルは、Appleやそのほかの企業がDRMシステムを使わずに、楽曲を配信することを認めてくれるのだろうか。まずは、DRM技術を用いても音楽の違法コピーは行われている点、そして今後もうまく阻止できない可能性がある点を知ってもらうことだ」と書いている。
Jobs氏は認めていないが、FairPlayにも限界はあるとMcQuiney氏は指摘する。iTunes Storeから購入した楽曲を一旦CDに焼いてから再びコンピュータに戻すと、その過程でDRM保護が解除されてしまうのである。大半の人はこのように手間のかかる作業をしないだろうが、このことはDRM技術には落とし穴があることをよく表していると、同氏はいう。
MicrosoftのZune部門でマーケティングディレクターを務めるJason Reindorp氏は、Jobs氏によるDRM廃止の呼びかけは、これまでの方針と180度異なり、「無責任」な行為であると述べる。
Reindorp氏は、保護されたコンテンツの価値を決めるのは、技術がどのように使われ、どのようなビジネスモデルに基づいて楽曲が配信されているかだという。「DRMは必ずしも悪者ではない。DRMのおかげで、サブスクリプション形式の楽曲配信など、素晴らしい販売方法が多く実現した。DRMがなければ、こうしたサービスは実現しなかった」と述べる。
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