最近では、企業のホームページをブログにするケースが非常に増えている。ブログのシステムをベースとすることで更新作業を簡略化し、手間やコストを削減できるためだ。また同時に注目を集めているのが社内ブログである。企業やショップなどの公式のホームページに社内ブログへのリンクを張り、スタッフの生の声を掲載しているのをよく見かける。
社内ブログは気張らずに入力できるため、未整理の情報でも公開しやすい。また、未分類の情報を集約、共有することで、コメントなどによる「気づき」を発見できる。さらに、RSSフィードやトラックバックなどによって、コンテンツの流通を飛躍的に高めることができ、そのシステムをオープンに提供できるというメリットもある。関氏は、「まずはブログでプロモーションしてみてはいかがだろうか」と提案した。そのためには、重要なことは「書き続けること」を挙げた。
ここで関氏は、シックス・アパートの導入事例を紹介した。たとえばリコーでは、カメラ専用のホームページにブログを導入している。これは、熱烈な愛用者の意見を受け止める場が欲しかったためだという。テレビや雑誌の広告に頼らず、ブログ中心にプロモーションしたことで、目標としていた月500台の販売を達成した。また、コミュニケーションを継続することで人気が持続し、発売後半年が経過した現在でも、カメラの実売価格が下がっていないという。
続いて、1996年6月に日本で初めてインターネット上にオープンした照明器具専門のオンラインショップ「てるくにでんき」の事例を紹介した。ここでは、照明器具を取り付ける実例集にブログを活用している。照明は、カタログの写真だけでは取り付けたときのイメージがわきづらい。そこで、ブログで照明器具を取り付けた写真を広く募集したのである。インターネットでは簡単に価格比較ができるため、価格だけではない自社の強みを見せる必要に迫られたことが導入のきっかけだったという。この結果、施工サービスまでを行う同社の強みが広く認知された。
さらに、レキシントンの「マンハッタンレコード」では、大量のアーティストや楽曲情報があり、以前はコンテンツの更新作業に一晩かかっていたという。そこで、コンテンツのひとつひとつを独立したブログで構成した。商品のデータは、商品コードを参照させるようにすることで自動的に表示できる。この結果、全体としてはさまざまな個性でにぎわうホームページとなり、更新などの作業も効率化できたという。
社内の情報共有や作業の効率化においてもブログは有効なソリューションと考えられており、大規模社内ブログの事例として、カシオ計算機、ファーストリテイリング(ユニクロ)、日本オラクル、マクロミルの事例も紹介された。社内ブログはそのコミュニケーション機能により、本部と店舗などの距離を埋めて、意識を統一することができる。お客様の反応といった店頭情報や、システムインテグレーター(SE)向けの技術情報の交換などにも有効だ。
最後に関氏は、人と組織の「新しい関係」を作るためにブログが有効であるとまとめた。ブログは、消費者と企業、社員と企業、生徒と教育機関といった「1対n」、部門と部門、事業部と事業部、チームとチーム、企業と企業といった「n対n」、ブロガーとノンブロガー、既存客と潜在顧客といった「1対1」と、経済活動のあらゆるシーンに影響を与えるツールである。そして、必要なときに必要な人へ、必要な情報が自由に共有できる新しいウェブツールであると締めくくった。
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