地球上の情報をリアルタイムに連携--開発者が目指す「Google Earth」の未来像 - (page 2)

--リアルタイムのデータを提供するとなれば、他の会社と提携してサービスをやることになるのですね

 そうですね。列車などのリアルタイム情報は、鉄道会社で用意して提供したいでしょうから、そういった場合には、ちゃんとその鉄道会社のロゴを表示する、といった形で協力体制が築けると思います。我々は地球のデータを提供できるし、彼らは鉄道の運行状態などの実際を把握しているのだから、両社が手を取り合えばこういうことが可能になるのです。

 Google創業者のLarry PageとSergey Brinの2人は、「Googleは、他の人がまだ手をつけていない重要なことをやる会社だ」と繰り返し言っています。我々は他の人達のやり方がうまくないと感じた時には、やり直すことがあるかもしれませんが、基本的にはすでに他の誰かがやっていることまで自分たちでやろうとする会社ではありません。

 ですから、有益なデータを持っている人たちがいたとき、我々がとるべき行動は、負けじと自分たちでも同じデータを用意するということではなく、その人達のデータをGoogle Earth上に載せられるよう協力体制を築くことです。3DGoogle SketchUpを無償提供しているのも、まさにこうした理由からなのです。

Google Earthの情報はユーザーが作り上げていく

--そうした協力体制はどの程度まで進むのでしょうか

 たとえばあなたが週末、東京ディズニーランドに行く計画を立てているとしましょう。あなたはその周辺にどんなレストランがあるかをGoogle Earthを使って調べます。そして良さそうなお店を見つけたら、クリックして営業時間やメニューなどの情報を確認します。内容が気に入ったら、その場でクレジットカード情報などを入力して、店の予約までできる。そういったアプローチの方が、ウェブブラウザでレストランの公式ホームページを一軒一軒探して予約するよりも便利なことがあります。Google Earthは、そうした可能性にも扉を開く「アースブラウザ」を目指すべきだと思っています。

--ところで現在、他社との協力というのは具体的にどのようにして行われているのでしょう。

 基本的に、提携先のデータを購入したりライセンス提供を受けて、我々がコンテンツを作っています。特に「我々だけのために新たにコンテンツを用意してくれ」と依頼することはありません。というのも、我々にはこの先、まだしばらくやるべきことが山積みだからです。

 すでに提携しているパートナーの情報も、まだほんの一部しか活用できていません。それに加えて、世界にはいろいろな場所の写真を撮り貯めている会社や電話帳を作っている会社などが無数にあり、そうした情報が提供する情報も膨大な量があり、さらにそうした情報を提供するべき言語もたくさんあり、しかも、こうした情報は毎日変わりつつあります。我々はそれに追いつこうと努力しているところなのです。

--パートナーから提供されるデータだけでなく、一般のユーザーから提供されるデータも増え続けるのですか。

 それはわかりません。少し前まで、Google Earth上のデータは、すべて専門家が用意していたデータでした。しかし、将来的にはほとんどが一般ユーザー提供のデータになるかもしれません。あるいは半分くらいかもしれませんし、そういった参加は割合的には非常に微小なのかもしれません。

 ただ、1つだけ確かなのは、割合的に微小だったとしても、量的には膨大なデータが集まってくるだろう、ということです。もしあなたがお店を経営していたら、あなたにはそのお店の所在地や営業時間をじめ改装によって一時休業しているといったこともすべてわかっていますよね。あなたはそれをGoogle Earth上のコンテンツとして提供できるのです。ある人は自分の住んでいる家や職場、近所について日本の政府や地図制作会社よりも詳しい情報を持っているはずです。そうした人々が持つ知識を無視することは、みすみす最良の情報を見逃すことに他なりません。

--今もGoogle Mapでは事業者に情報を登録させたりしています。

 ええ。そうした企業が登録する情報には、パブリックになっているものと、企業内だけで使用するプライベートなものがあります。店舗の営業時間といった情報はパブリックなものです。一方、たとえば東京ガスでは、ガス管の経路が関わる情報を把握しやすいように、Google MapのAPIを使った独自のプライベートの情報システムを構築しています。そのほか、我々はSalesForce.comとパートナーシップを組んでいます。彼らはGoogle Mapを使って顧客がどこにいるかといった地図を提供しています。

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