ウェブホスティング企業は、著作権者の正式な届出に迅速に対応し、著作権を侵害している全てのコンテンツを削除すれば、法的責任が免除されるというのが512条の基本的な内容だ。YouTubeは、同社のサイト上に掲示されている正式な方針を通じてこれを実行し、10分間以上の長さの未許可映像のアップロードを禁じている。
しかし512条に規定されている「セーフハーバー条項」の恩恵を受けるためには、YouTubeが満たさなければならない要件が他に4つある。第1に、著作権で保護されているマテリアルがサービスプロバイダのホスティングサービス上に「存在」すること、第2に、そのマテリアルが「ユーザーの指示で」保存されていること、第3に、ホスティングサービスが「著作権侵害行為が行われていることが明らかである事実や状況に気付いていない」こと、第4に、ホスティングサービスが「侵害行為に起因する金銭的利益を得ていない」こと、の4点だ。
YouTubeが映像コンテンツの横に広告を掲載すればするほど、512条の盾は徐々に崩れていくことになる。またYouTubeの幹部らが著作権侵害行為に目をつぶっている証拠が出てきても同様の結果となる。また著作権者たちも、512条が想定していない、あるいは保護していない方法でYouTubeがビデオを修正していると主張する可能性がある。
企業家としても知られるMark Cuban氏は次のように述べている。「Youtubeを買収するなどGoogleは正気ではない。それは間違いない」
Cuban氏は、裁判の中でDMCAのセーフハーバー条項が審理されれば、同条項が適用されることはないだろうと述べ、その例としてYouTubeが最近締結した一連のライセンシング契約を挙げた。同氏は、「著作権の問題は(YouTubeのような)訴訟をよく起こされるサイトにたくさん降りかかるだろうとした上で、次のように続けた。「私個人的には、この問題に最初に対処したサイトが圧倒的に優位に立ち、まだ対処していないライバルサイトを一気に抜き去ることになると考える。そのようなサイトは、他のサイトが訴訟で争っている間に、偉大なユーザーにコンテンツを作らせ、トラフィックを増やすことができる」
他のアナリストらもYouTubeのビジネスモデルには否定的であり、その理由として法的懸念を挙げた。
米国時間10月9日にYouTubeにコメントを求めたが、回答は得られなかった。同社は7月に、ジャーナリストでヘリコプターのパイロットでもあるRobert Tur氏に提訴された。Tur氏は、1992年にロサンゼルスで発生した暴動の最中に、トラック運転手のReginald Denny氏が暴行された現場を撮影したが、その映像が同氏の許可なしにYouTube上に掲載され、これまでに1000回以上も視聴されたと主張している。YouTubeはTur氏の提訴を知った後に、そのビデオクリップを削除した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する