「Second Life」の仮想世界、その実態は?初体験の記者がリポート - (page 2)

文:Leslie Katz(CNET News.com) 翻訳校正:大熊あつ子、矢倉美登里、長谷睦2006年09月06日 22時23分

 わたしは最初の1週間で、何もかもがそろっている仮想世界にすっかり魅了されてしまったのだが、自分のアバターの変わりようにはさらに驚かされた。わたしは自分のアバターにAmeliaという名を付けた。もちろん、彼女はSecond Lifeのアバター作成ツールを使って作り出されたとはいえ、純粋にわたしの想像力の延長線上にある。身長、鼻、目、ほお、あご、肌の色、化粧など、アバターを創りあげて楽しむためのさまざまなオプションが用意されているので、アバターを女優のCharlize TheronやHalle Berryそっくりにすることもできた。だが、わたしの場合は、現実の自分をそのまま反映した、どう見てもそっくりな姿になっていったのだ。

 「リンデン・ドル」というSecond Lifeの通貨を使えば、大胆でけばけばしく、ときには宇宙的とも言えるほどとっぴな衣装も買えるが、わたしはジーンズにチュニック、履きやすさ重視の靴を選んだ。だが、そっくりだというのは、このような服装の好みだけにとどまらない。Second Lifeの世界における時間の過ごし方も、現実のわたしに近いのだ。Ameliaはほとんどの時間を、Second Life内にあるサラ島の青々とした風景の上空をひとりで飛行したり、サンフランシスコのベイエリアにもあるような、緑の豊かな公園のベンチに座ったりして過ごす。Ameliaは(マンガ的な、現実ではあり得ないほどつるっとした肌をしていることを抜かせば)外見がわたしにそっくりなだけではない--興味の対象も似ている。

仮想空間の達人になるには

 おそらく、わたしがSecond Lifeで好んですることにも、特に意外なものはないだろう。わたしが現実世界で内向的で少し気が弱い傾向があり、バーやナイトクラブに出かけるよりは、庭いじりをしたり、ひとりで考え事をしたり、本を読んだりするのが好きなのであれば、第二の生活であるSecond Lifeでも同じ傾向を示して当然ではないだろうか。わたしは買い物が好きではないので、その分身であるAmeliaが、自分にぴったりの可愛い黒のドレスを探してSecond Lifeの世界をくまなくテレポーテーションしたいのでは、と考えるはずもない。アバターに黒いレザーのジャンプスーツを着せ、翼を付けたとしても、ラジオでおどろおどろしいロックを聴いたり、映画「ザ・クロウ」を観たりするキャラクターになるとは限らない。

 Second Lifeのメタヴァース(仮想空間)では、どんな人格を試してみることもできる。だが結局は、現実の自分をデジタル世界にも持ち込むことになるのではないか? わたしはそうだった。

 もちろん、これはわたしがメタヴァースでのお約束に不慣れだったことにも原因がある。現実世界では、それが職場であれ、友人と一緒にいるときであれ、近所の通りを歩いているときであれ、どんなことが起きるかはだいたい予想がつく。しかし、アバター対アバターというコミュニケーションの世界にはなじみがなかったので、自分の社会性に自信がもてなくなった。これまでわたしは、何年もかけて本のサイン会や休日のパーティでうまく立ち回るコツをつかんできた。けれども、剣を振り回している興奮しやすいアバターとはどうやって交流すればいいのだろうか?

 同僚のDaniel Terdiman氏はSecond Lifeに昔から参加し、仮想世界について数多くの記事を執筆している。そのTerdiman氏がわたしに、現実世界の人々と同様、アバターもその世界になじむまでに時間がかかることがよくあるのだと教えてくれた。Terdiman氏自身も、メタヴァースの世界に適応するまでに時間がかかったうえ、今でも多くの時間を、自分の現実世界の趣味を反映する活動に費やしているという。この話を聞いてAmeliaはほっとする。確かにSecond Lifeは非現実的な世界だが、だからといってAmeliaがテーブルの上で熱く歌い踊る歌姫に変身する必要はないのだ。

 もちろん、今後、この刺激的な新しい世界の居心地がますますよくなり、今のような抑制が効かなくなることもあり得る。そのときには、わたしのアバターは身長7フィート(約2メートル13センチ)の大男へと姿を変え、シャンデリアにぶら下がったり、家に詰めかけた人たちを前に大声でカラオケを歌ったりするのが楽しくて仕方ないと思うようになっているかもしれない。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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