グーグル、クリック詐欺訴訟和解へ--根本的な解決にはほど遠く - (page 2)

文:Elinor Mills(CNET News.com) 翻訳校正:坂和敏(編集部)2006年04月11日 12時12分

 検索エンジン各社が統計情報やデータの提供を拒んでいるため、この問題の規模の大きさを正確に把握する方法はない。これらの企業が明らかにしているのは、システムを使って不正クリックの大部分を検知していること、また何らかの理由でフィルタリングソフトウェアが検知できず不正クリック分を請求してしまった場合はクレジットや現金で払い戻しを行っていることだけだ。

 しかしながら、広告主の間には、これが大きな問題になってきているとの認識がある。Search Engine Marketing Professional Organization(SEMPO)が2月に公表した調査結果によると、ネット広告の数とクリック詐欺を深刻な問題だと考える検索エンジンマーケティング企業の割合は昨年3倍増加し、全体の16%に達したという。

 このような数字があるにもかかわらず、検索マーケティング関連予算は増加を続けており、クリック詐欺の影響は感じられない。JupiterResearchでは、2005年に42億ドルだった検索広告の市場規模が2010年には75億ドルまで増加すると予測している。

 これだけの金額がかかっていれば、広告主がクリック監査会社のAlchemist Mediaやクレジットカード取引を監査するFair Isaacなどの企業を頼るのも当然と言える。両社はいずれもクリック課金(PPC)市場の調査を行っている。

 「自社広告へのトラフィックデータを調査し始めたばかりという広告主が多い」とAlchemist Media社長のJessie Stricchiola氏は言う。「広告主はこの問題がどれほど大きなものかがわかっていない。検索エンジン企業各社は(製品/サービスの)購入率などクリック後のデータは見ていないが、広告主は検索エンジン企業が送ってくる報告書に頼っているだけだ」(Stricchiola氏)

 Googleでは、コンバージョンに関するデータを含む、広告がクリックされた後の情報を多数の広告主から入手していると述べている。

 同社は3月に、1年前にLane's Gifts、Collectibles、Caulfield Investigationsがアーカンソー州で起こした訴訟に対する和解案を提示した。Googleはこの和解案の中で、不正なクリックに対する払い戻しを受けていないと申し出た顧客に広告掲載用のクレジット(与信)を与えるとし、その上限を9000万ドルに設定している。法廷がこの和解案に対していつ裁定を下すかは明らかでない。一方、Yahooなどを訴えた別の訴訟は現在係争中となっている。

 しかし、この和解案では核心にある問題は解決されないという批判的な意見もある。

 「残念ながら、Googleの和解案では基本的な問題が解決されないようにみえる。つまり、何をもってクリック詐欺とするのか、そしてどんな時に検索エンジン各社が責任を負うのかといった点がはっきりしない」とマーケット大学法学部大学院のEric Goldman助教授は自らのブログのなかで述べている。「この面で、Googleは今後も広告主との関係に関してさらに注意を必要とする問題を抱えることになるだろう」(Goldman助教授)

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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