米で「ネットの中立性」をめぐる議論が激化 - (page 2)

文:Marguerite Reardon(CNET News.com)
翻訳校正:坂和敏(編集部)
2006年03月16日 11時56分

 音声やビデオを扱う新たなアプリケーションがインターネットで使用されるようになるにつれて、この議論は激しさを増してきている。これらのアプリケーションを正常に動かそうとすれば、一定のサービス品質が必要になる。ネットワークを保有している企業は、他社が提供していることも多いこれらのサービスが回線を占有していると主張している。

 Ciscoの考えによれば、電話会社は自社の技術を利用することで、ネットワークリソースをいっそう効率的に管理し、一般ユーザーのためにサービスの優先順位付けを行うことができるという。ビデオのような多くの帯域幅を必要とするコンテンツを扱うアプリケーションをインターネット上で利用しようとした場合、現状では、ユーザーは高価なブロードバンドサービスを契約しなければならない。これらのユーザーは、そのような帯域幅を24時間必要としていない可能性もあるが、それでも定額料金を支払わされている。

 ネットワーク事業者が、自社のネットワークを流れるビデオトラフィックに優先順位を設定し、それに従ってコンテンツプロバイダに課金すれば、顧客は低速なブロードバンド接続でもそうしたコンテンツにアクセスできるようになる。この筋書きなら、階層分けされたサービスによって、一般ユーザーに実質的な利益がもたらされると彼らは主張している。

 しかし、GoogleやPacWest Telecomなどの各社は、インターネットの中立性を擁護するようBarton議員に書簡を送っており、ネットワーク事業者が市場におけるその力を濫用し、自らのサービスに競合他社よりも高い優先順位を設定するのではないかと危惧している。またこれらの企業は、ネットワーク事業者が競合他社に課金する料金が高すぎると、小さな企業が新たなサービスを提供できなくなると危惧している。

 「電話会社は、他者のコンテンツを差し置いて自社の独自コンテンツを優先するべきではない」と、PacWestのJohn Sumpter氏(法制関連担当バイスプレジデント)は述べている。「解決策は、これらの企業に他社のアプリケーションの差別を認めないネットの中立性の形態をとる」(Sumpter氏)

 電話会社側の関係者らは、こうした懸念は実態がないとし、その理由として顧客がその発生を許さないからと説明している。

 「われわれには、自社のネットッワーク上で提供される他社のサービスを遮断したり、その質を落とすといった意図は全くない」とVerizonのDavid Young氏(規制問題担当バイスプレジデント)は言う。「われわれは顧客が求めるものを提供している。それは高速な回線を低価格で提供することだ。顧客からこれを奪おうとするものは誰であっても市場で罰を受けることになるだろう」(Young氏)

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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