これまで各チームのコーチは、スタッフがデジタルファイルを編集/記録し、それをDVDに焼くまで何日も待たされていた。だが、Synergyのシステムなら、同社のウェブサイトにログインし、目的のビデオを検索をするだけで済む。手元のコンピュータにストリーミングされた映像は、スロー再生や一時停止、逆再生が可能になる。そして、目的の映像を好きなときに見ることができる。
Phoenix SunsのアシスタントGM、David Griffinは、選手6人のビデオをそれぞれ1時間ほど見た後で、「選手たちのことが格段によく分かるようになった」と語った。
「高度な機材を用意しなくても、NBAの選手全員や、彼らが出場したゲームをあらゆる側面からビデオで見られるという話はこれまで聞いたことがない」(Griffin)
Barrは「記録係」と呼ぶ30人以上の人間を雇い、どの選手がボールを持ち、どのようなタイプのプレーが行われて、その結果がどうなったかなどのデータを、各プレイのビデオに関連づけする作業を行わせている。
Synergyのビデオ検索エンジンは、動画データに統計情報を組み合わせることで、コーチが望むものを素早く検索できるようになっている。このシステムの可能性としては、たとえばLakerのPhil Jacksonヘッドコーチが、Portland Trail Blazersが本拠地Rose Gardenで戦った試合のなかからファーストブレイクのシーンを取り出すといったもの、あるいはHeatのPat Rileyヘッドコーチが、Sunsのポイントガード、Steve Nashが今シーズンに決めたすべてのレイアップシュートを検索する、といったものが考えられる。Rileyはこれらのビデオを役立てながら、昨シーズンのMVPに輝いたNashをどう守るかを考え、それをHeatのシューティングガード、Dwyane Wade(愛称は「Flash」)に伝える、という具合だ。
PacersのCEO、Donnie Walshは、Synergyのシステムなら選手やチームの姿をきわめて包括的に見られることから、将来的には各チームが旅費や人件費を減らすことが可能になると述べている。
NBAの各チームでは5年前から移動費が急騰しているが、その一因は対戦相手のチームに加え、高校生や国外の選手をスカウトする必要があることにある。Barrは、Synergyのシステムの価格について、5桁の金額になると明かしただけだった。しかし、どのような金額であれ、このシステムには金額に値する価値がある、とWalshは述べている。
「選手の姿を自分の目で確かめることは、今後も常に重要だと思う」と言うWalshは、人材発掘に関してNBAでも有数の目利きと考えられている。「選手の身体の大きさや俊敏さを感じ取る必要がある。だが、一度それを済ましてしまえば、あとはその選手の成長ぶりをこのようなシステムで追跡することも可能か知れない」(Walsh)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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