公平なサービス提供は不可欠か--「ネットワークの中立性」で揺れる米上院公聴会 - (page 2)

文:Anne Broache(CNET News.com) 翻訳校正:河部恭紀(編集部)2006年02月08日 21時31分

 Washington Postは最近の記事で、Googleなどの企業はVerizonのネットワークを無料で利用できると期待すべきではないという、Verizonのある幹部の言葉を引用した。Dorganはこの記事に言及し、そのような論法には欠陥があると指摘した。「無料というのは正しくない・・・(ブロードバンドサービスの加入者は)すでに月額料金を支払っている・・・それらの回線やアクセスの料金は消費者が支払っている」(Dorgan)

 Googleのチーフインターネットエバンジェリストでインターネットの創始者の1人であるVint Cerfは、同公聴会に出席し意見を述べた。Cerfは、ネットワークの中立性に関する確固たる原則がなければ、ブロードバンドサービス企業は「(市場の)門番」という前例のない役割を担い、事実上、新興のインターネット企業を市場から締め出す可能性があるという懸念を示した。「消費者の選択肢の拡大、経済成長や技術革新の促進、国際競争力の強化というインターネットの効果が失われる恐れがある」(Cerf)

 Google、Microsoft、Yahoo、eBay、Amazon、InterActive Corpの6社は6日、商務委員会あてに連名の書簡を送付し、その中で、ネットワークの中立性を支持する内容の新法制定に向け、今後も強く働きかけていく意向を改めて示した。

 大手VoIPサービスプロバイダVonageの最高経営責任者(CEO)であるJeffrey Citronは上院議員らに対し、同社は、ネットワークの中立性の欠如が招いた障害をじかに体験していると語った。Vonageは、同社のサービスを妨害したとして、比較的小規模の電話会社数社を提訴している。Citronは商務委員会に対し、そのような差別的扱いをされた企業に「法的手段」を与える法律の制定を検討するよう促した。

 一方、公聴会に出席したブロードバンド業界の代表者らは上院議員らの前で、彼らの企業はそのような差別的行為は決して行っていないと断言した。通信業界の業界団体である米国通信協会(USTA)の会長兼CEOであるWalter McCormickは、「これまで、われわれがインターネットを支配あるいは規制しようとしたことがあっただろうか。いや、そのようなことはしていない。むしろ、われわれはインターネットに投資し、成長させ、その規模と範囲を拡大してきた」と述べた。

 さらに、全米ケーブル電気通信事業者連盟(NCTA)の会長兼CEO、Kyle McSlarrowは、(電気通信業界は)ネットワーク上の活動を阻害するつもりもないと語った。同氏は、ネットワークの中立性の原則の立法化は「(インターネットを)活気付けるような印象を与えるかもしれない」が、実際は、新しい高度なネットワークの開発を阻害することになると警告した。

 その他の上院議員らによると、彼らは、少なくとも現時点では、この問題について、議会ではなく市場の判断にゆだねる方が賢明との見解で一致したという。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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