「ツールバー戦争」本格化か--デル、グーグルとの提携を検討

文:Tom Krazit(CNET News.com)
翻訳校正:坂和敏(編集部)
2006年02月08日 12時25分

 デスクトップ上でのアイコン表示をめぐる争いは大昔の話で、いまや戦いの場はブラウザ上へと移っており、Googleなどのインターネット関連企業各社は、新しいPCに搭載されるブラウザ上で陣取り合戦を繰り広げている。

 Dellは現在、Googleとの提携を検討しているという。これはDell関係者が正式に認めたものだが、この提携が実現した場合、Dellは自社製の新しいPCに「Google Toolbar」や「Google Desktop Search」といったプログラムのほか、GooglがDellユーザー向けに用意する専用ホームページを盛り込むことになるという。

 また、Wall Street Journalが米国時間7日に報じたところでは、この提携の期間は3年間で、Dellは自社製PCにソフトウェアをインストールさせる見返りとして、Googleから最大10億ドルを受け取る可能性があるという。Dellの関係者は、両社の今後の関係についてはコメントを控えている。Googleの関係者にもコメントを求めたが、回答は得られなかった。

 Endpoint Technologies Associates社長のRoger Kayによると、現在各社が最も注目しているのは、デスクトップではなく、ブラウザ上のスペースだという。5年前にMicrosoftが独禁法裁判で米司法省と和解した際には、競争を促進するためにWindowsのデスクトップ解放が義務づけられたことから、PCメーカー各社は自社製品のデスクトップ上にあるスペースを最高額を提示した入札者に貸し出せるとの期待に胸を膨らませていたものだった。

 そして、実際にAmerica OnlineやCompuServeなどの各社が、先を争ってデスクトップの目立つ場所を確保し、自社のダイヤルアップサービスを売り込もうとした。だが、この動きは期待したほどの利益には結びつかなかった。PCユーザーは、使いたくないアイコンを無視したり、クリーニングプログラムを使ってすべてのアイコンをデスクトップやスタートメニューから削除しただけだったと、Kayは言う。それに対して、インターネット回線を利用できるPCユーザーは、ほぼ全員が1日最低1回はブラウザを使っており、Googleの検索エンジンのような便利なユーティリティを搭載するブラウザのツールバーなら、ユーザーの注意を惹きつけられるだろうとKayは述べている。

 PCメーカー各社は、各社のツールバーをPCに予めインストールすることで、余分なコストをかけずに新たな収入源を手にすることになると、NPD Techworldの業界分析ディレクターStephen Bakerは述べている。同氏はPC業界の薄利体質を指摘し、「彼らにとっては、たとえ2ドルでも重要だ」と語った。

 GoogleはすでにHewlett-Packard(HP)やソニー、Apple Computer、東芝などのパソコンメーカー各社と提携し、Google Toolbarの配布を行うことになっているとGoogle関係者のする話を、Reutersが7日付けの記事で報じていた。Gatewayも7日にGoogle Toolbarを新しいPCに搭載していくことを明らかにしていた。

 AOL、Yahoo、MSNなどのGoogleと競合する各社も、同様の提携を結ぶか、あるいは新しいPC上に自社の専用スペースを確保するための交渉を進める可能性が高いと、KayやBakerは述べている。実際に、AOLは先ごろソニーとの提携を発表している。これは、新しいVaio PCのデフォルトのスタートページとしてAOLブランドのホームページを提供するというものだ。

 「だれもがGoogleの動きに神経をとがらせている。各社ともいつでも攻撃に出られる態勢にあるが--ただし、それがいつになるかは誰にも分からない」(Baker)

 ソフトウェア企業各社が、インターネットを使ってソフトウェアをサービスとして提供するという新たなモデルへと向かうなかで、PCユーザーを特定のブランドに早い時点で取り込んでおくとがきわめて重要になると、Kayは言う。「(たとえ選択したあったとしても)デフォルトの設定を変更しないユーザーが半数に上ることを彼らは知っている」(Kay)。Googleは先月のConsumer Electronics Showで「Google Pack」というソフトウェアバンドルを発表していた。またDell会長のMichael Dellも自社のPCにソフトウェアを含める可能性に興味を示していた。

 しかし、Googleはツールバーへの投資から得られる見返りにがっかりするかも知れないと、Bakerは言う。Googleというブランドはすでに認知度がきわめて高く、この種のマーケティングに10億ドル単位の金額を注ぎ込んでも、Google製品を利用しているPC購入者に対しては投資効率がきわめて悪くなる可能性があると同氏は述べている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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