「アマゾンはまだ創業初日」--日本市場は売上の10%を占める存在に

 WPC EXPO 2005の開催3日目である10月28日、米Amazon.comのワールドワイド・ハードライン・リテール担当シニア・ヴァイスプレジデント、カル・ラーマン氏が「最新米国ネット市場の動向とAmazonの戦略」と題した基調講演を行った。

 ラーマン氏は冒頭、Amazonの成功を支える循環型成長戦略の構図を紹介した。まずは「コストのかからない構造」を用意する、これにより「低価格販売」が可能になり、「顧客体験」が向上する。そうすると顧客からの「トラフィック」が増え、「商品を卸す会社も増える」。これは「(商品)セレクション」の充実につながり、それがさらに「顧客体験」を向上させる。また、Amazonならではの「使いやすさ」を向上させることも顧客体験を良くする。こうした良い顧客体験が再びトラフィックにつながる--この好循環がAmazonに成長をもたらすというのだ。

あくまでも顧客志向を貫くというカル・ラーマン氏

 「実行するのは簡単ではない。しかし、確実に功を奏している」(ラーマン氏)

 実際、2000年12月期に27億6200万ドルだった同社の売上高は2004年12月期には69億2100万ドルとなり、着実に右肩上がりの成長を続けている。なかでも伸びているのが米国外の売り上げで、2005年12月期第3四半期は全売上高の35%が米国外の市場によるものだった(2000年は14%)。

 その中でも特に重要なのが、ちょうど5年前の11月に「amazon.co.jp」の公開で立ち上がった日本市場だとラーマン氏は話す。当時170万個だった商品数は700万個に増え、売り上げも2ケタ成長を続けている。2004年には全世界の売上高の10%を占めるに至った。「この市場はまだまだ伸びる」(同氏)

 この5年で、Amazonの商品売上の構成も変化した。2000年頃は中核ビジネスである書籍販売が中心で、電化製品や一般商品の売り上げは米国で20%を占めたものの、海外ではほとんどなかった。

 しかし、現在はこれらの商品の売り上げが伸び、米国では30%、海外では22%を占めるに至ったという。2004年のクリスマスシーズンには、ついに電化製品の売り上げが書籍の売り上げを追い抜いている(ただし、書籍も売上比率は落ちても、売上量は伸びている)。

「書籍の本文検索を日本でも開始する」

 冒頭に挙げた成長戦略を描く循環の中で、鍵になるのは価格、使いやすさ、セレクションだ。ラーマン氏は具体例を示しながら詳細に解説した。

 まず価格では、DVDの価格が競合会社よりも20〜25%安いという。また、負担は大きいが「顧客がそれを望んでいる」(同氏)という理由で送料無料での商品発送を積極的に行っている。

 使いやすさでは、おすすめアイテムの表示やカスタマーレビューといった機能の人気が高いが、米国ではこれに加えて「Search Inside!」という機能を提供している。これは、顧客が欲しい本を見つけられるように、本の中身(本文)を検索できるようにするサービスだ。「近々、日本でも開始する」という。

 セレクションについては、2003年から取り扱いを始めた家電商品が顕著に伸びており、米国の家電雑誌で2度にわたり、価格の低さとセレクションの多さを表彰されたとのことだ。

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