WalesはWikibooksの著者らを「ボランティア」と呼び、多様な分野の専門家や、大学生および大学院生、または教授などから構成されていると説明する。「さまざまな種類の、いわばギーク的な人々だ」(Wales)
Wikibooksには現時点で、1万1426件の記事が投稿されている。トピックも、生物学からニュージーランドの経済まで、多岐にわたっている。全書籍はデジタルかつオープンソースなので、教師はどれかを選び、生徒にPDFで印刷するよう指示することが可能だ。
しかしWalesは、Wikibooksプロジェクトが成熟するまでにはまだ数年かかることも承知しているという。
「Wikibooksは、始動したばかりのプロジェクトだ。『ここに集められた幼稚園から大学レベルまでのどんな教材でも、うまく活用すれば独学も可能だし、人に教えることもできる』と自信を持って言えるようになって初めて、同プロジェクトの使命は全うされる」(Wales)
デジタルブックを大量収集する試みは、当然ながらWikibooksが初めてのものというわけではない。Googleは2004年から、独自のライブラリを構築する、印刷物に関するプロジェクトを進めている。だが、Googleのデジタルデータベースプロジェクトでは、しばしば著作権の発生する作品を対象としているのに対し、Wikibooksの教材は、すべて一般利用を念頭に置いて制作されている。
一部の教育者も、Wikibooksのようなプロジェクトが、学問界に研究のための新たな手段を提供し、従来の教科書発行社に新技術を採用するようプレッシャーを与える点を評価している。
「今日の学問界は、大きな問題をいくつか抱えている」と話すのは、マサチューセッツ大学の生物学助教授Steven Brewerである。「そのうちの1つが、旧式の研究書出版モデルはペースが遅いということだ。教材が専門家の査読過程を通過するまでには、非常に長い時間がかかる。Wikibooksの概念が一般化すれば、インターネット上にすでに出回っているドキュメントはすぐに集まるだろう」(Brewer)
Brewerはまた、Wikibooksは、即座に修正でき容易に調査できるというデジタル情報の利点を活用していることから、学生に新しいタイプの学習の機会を提供するとも期待している。
「Wikibooksが完成していなくても、わたしたちができることは豊富にある。中でも重要なのが、学生自身に教材を作成/検討させたり、教材に詳細な事項を付け加えさせたりすることだ」(Brewer)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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