V・サーフはグーグルで何をやるのか

Stefanie Olsen(CNET News.com)2005年09月12日 11時47分

[解説] インターネットの先駆者であるVint Cerfは、Googleでいったい何をするのだろうか。

 何らかの意図があったかどうかはわからないが、同氏はGoogleに加わる6週間ほど前に、この問題に関するヒントを仄めかしていた。そのヒントとは、身近なところにある携帯端末の分野に関心がある、というものだ。

 CNET News.comは米国時間7月28日に、インターネットの基本通信プロトコルの開発に携わったCerfにインタビューを行い、幅広い話題について話を聞いたが、その際同氏は、地理的にインデックス化されたデータを詰め込んだデータベースがもうすぐ登場し、近所の病院やATM、コーヒーショップのリストが、携帯端末から簡単に取り出せるようになる、と語っていた。そして、このなかに広告が含まれる可能性もある、としていた。

 「たとえば、Google Earthでは、特定の場所にいるときに近くにある中華料理店を探すと、それぞれにシンボルの付いたロゴと一緒に店舗の在処を示す表示がポップアップし、そこにマウスを合わせてクリックすると、今度はメニューがポップアップする、といったことが可能になる」(Cerf)

 Googleは米国時間8日、Cerf(62歳)が同社に加わり、インターネット経由で動作する次世代アプリケーション用の、新しいアーキテクチャやシステム、各種の標準の開発に力を貸すことになったと発表した。MCIで技術戦略担当バイスプレジデントを務め、NASAの客員研究者でもあったCerfは、10月3日付でGoogleのチーフ・インターネット・エバンジェリストに就任する。

 Cerfが7月のインタビューでコメントした内容は、同氏がすでにGoogleの将来を頭に入れていたことを示唆するものだった。しかもそれは、同氏が近所の中華料理店から取ったトリ肉料理を試す以上の野心を抱いていることも匂わせていた。通信プロトコルに関する同氏の専門知識は、まずは、位置情報データと無線通信を結びつけた巨大なネットワークの構築に役立つものと思われる。

位置情報こそすべてのカギ

 「有毒物質が流出し、しかも風が吹いているといった緊急事態では、風下にどのような建物があり、何人の人間がいるかを知りたくなる。地理的にインデックス化したデータを、便利で、人命救助に役立ち、利益を生むかもしれないデータに変えるのは、極めて興味深いことだ」(Cerf)

 同社は既に、Google Earthを通じて、この目標実現に向けた開発作業を進めている。これは、レストランやATMなどの各種サービスを郵便番号から検索できるようにする3次元マッピングサービスだが、まだテストフェーズの段階にある。ただし、Googleはまだ同サービスをCerfが描写するほど強力なものにはできていない。また、対応機器もPCに限定されている。

 さて、Googleはこうしたサービスから、いったいどう利益を上げるつもりだろうか。

 たとえば、全米に展開する銀行などの場合、料金を支払って近所にあるATMを強調表示してもらうといったことが考えられる。また小売店なら、近隣で夕食を食べる顧客にクーポンを発行することができる。

 「パリに旅行に行く予定があり、宿泊先の半径数キロ以内にある美術館の一覧が欲しいとする。もしくは、一番近くにある病院の場所や、車で移動中に一番近いATMマシンの在処を知りたいとする。これらは自分の機動性を左右する問題だ。また、経済や地域の人口といった統計に関する応用もある」(Cerf)

 Cerfはさらに、「多くのところが、地理的な位置と、自分が関心を持つデータとを結びつけたデータを蓄積し始めている。GallupやCensusの調査などがそうだ。このようなことは、力にも、利益にもつながる可能性がある」とも付け加えた。

 Googleは、ワイヤレスデバイス向けに自社の基本サービスを提供している以外、モバイル市場向けの計画はまだ何も発表していない。しかし、最近の動きからは同社の幹部の間で何か大きな計画があることがうかがえる。そして、通信プロトコルのバックグラウンドを持つCerfが、何か大きな役割を担う可能性がある。

 同社は、「ダークファイバー」と呼ばれる、敷設済みながら稼働していない光ファイバーケーブル-を買い占めるなど、通信インフラに多大な投資を行ってきた。7月には、電灯線経由でブロードバンドインターネットアクセスを提供するための技術を持つCurrent Communicationsにも出資している。

 Googleはさらに、Wi-Fiネットワークでの広告配信をテストする目的で、Feevaという、サンフランシスコの小さい会社とも密かに提携した。Googleはまた今年に入ってAndroidを買収したが、この秘密のベールに包まれた新興企業では、携帯端末向けOSの開発に取り組んでいるとの噂が流れている。Androidの共同創業者らには、無線機器の開発に関する専門知識がある。

宇宙空間への野心は?

 Googleは、昨年の株式公開前に公表した目論見書のなかで、ビジネス開発に関しては長期的な姿勢とる計画であることを明らかにしていた。だが、Cerfが加入したことで、同社は宇宙関連で想定外の長期計画を進めることになるかもしれない。NASAのJet Propulsion Labで同氏が研究していたのは、宇宙空間での利用を前提とした一連の新しい通信プロトコルの開発だった。同氏はGoogleに加わった後もこの仕事を継続することにしている。

 このNASAでの研究は、Googleの共同創業者らが示す将来への関心とうまく合致する。たとえば、Larry Pageは先ごろX Prize Foundationの理事会メンバーとなったが、この財団では宇宙やそれに関連する革新的な技術の開発を目指すコンテストを後援している。また、ある情報筋によると、Googleはすでに同社の本社近くにあるNASA Ames Research Centerで働いていた科学者を数人雇い入れているという。

 ただし、Googleの幹部らがどれほど野心的であろうと、かれらが宇宙市場に打って出るまでにはまだ長い道のりが待っているというのが大方の見方だ。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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