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PtoPを利用した仮想世界「Solipsis」の実験始まる

2005/05/10 13:14
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 仮想世界への入り口は、何もない場所にある--それは空っぽの青い空間で、真ん中にはスタートレックの衣装を付けた猫の絵があるだけだ。

 France Telecomの研究者らは先月末、「Solipsis」というPtoPの仮想世界を構築する実験的な試みを発表したが、この困ったような顔をした猫はそのなかのアバター--デジタル空間で実在人物(ここでは筆者)の代わりを務めるキャラクターだ。そして、空っぽの青い空間は「Solipsis」の初期段階の「ノード」だ。

 Solipsisの取り組みはまだ始まったばかりだが、同プロジェクトの最終的な目的は、ソニーの「EverQuest」のような大規模マルチプレイヤーゲームや、KazaaもしくはeDonkeyといったファイル交換ネットワークから学んだ技術的なアイディアを、1つにまとめ上げることだという。開発者らは、複数のウェブサイトやEverQuestのファンタジーアドベンチャーを動かしているような強力な中央サーバを利用する代わりに、PtoPでつながったユーザーのコンピュータ上で動作する、大規模な仮想世界を構築したいと考えている。

 だが、そうすることで得られる利点とは何だろうか。この質問に対して、開発者らはインターネット上の住人を「フリー」にすることだと言う。ここでいうフリーとは、「タダで飲めるビール」という場合のフリーと、「言論の自由」という場合のフリーの、両方の意味を併せ持つものだ。

 「閉鎖的なシステムの中では、世界はその世界の住人、すなわち企業の社員の想像力以上には広がらない」と話すのは、France Telecomでこのプロジェクトに携わるJoaquin Keller。「システムがオープンなら、多くのアイディアが次々に現れるだろう。1つのウェブサイトとウェブ全体が別のものであるのと同じように、これら2つのシステムも異なっている」(Keller)

 Solipsisや類似するPtoPおよびオープンソースプロジェクトでは、ゲームの開発方法を抜本的に変革することに加え、ユーザーのコミュニケーションやオンラインでの情報操作のやり方まで変えることを狙っている。

 Neal Stephensonの書いた「Snow Crash」は、「Metaverse」と呼ばれる先進的なオンライン仮想世界に関する物語だが、これらのSF小説から着想を得た開発者らは、デジタル世界を現実世界と同じように複雑で豊かな環境にしようと考えている。その結果、ユーザーは単に電子メールを交換する代わりに、例えば自分の部屋や、あるいはタージマハールにアバターを住まわせ、そこで人と会えるようになるかもしれない。

 こうしたアイディアは次第に、草の根的なPtoPプロジェクトや、オープンソースプロジェクトと融合するようになってきている。これらのプロジェクトでは、コンピュータの処理能力と創造力を、可能なかぎり広範に、かつ可能なかぎり個人ユーザーに近いところまで分散させることを狙いとしている。

 EverQuestや「Star Wars Galaxies」に代表される大規模なオンライン仮想世界の大半は、大型の中央サーバによってホスティングされている。ユーザーがどこにいて、どの竜が倒され、どの家が焼き払われたのかなど、仮想世界の一貫性を保つには、高いコンピュータ処理能力が要求されるというのが、その理由の1つだ。

 だが、Kellerやほかの多くの開発者には、別のアイディアがある。彼らは、仮想世界における住人の周辺環境情報は、各ユーザーが自らのコンピュータで管理すればよいと考えている。その場合、オンライン上のだれかを訪ねるというのは、固有の外観や決まり、特徴などを持つその人物の居場所を、文字通り訪れることを意味するようになる。

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