楽天ダウンロードで「サラリーマン金太郎」の新連載--出版社に干されるか実験?

藤本京子(編集部)2005年04月07日 19時46分

 楽天は4月7日、同社の運営するデジタルコンテンツのダウンロード販売サービス「楽天ダウンロード」において、漫画家 本宮ひろ志氏による人気漫画「サラリーマン金太郎」の新連載を一部無料提供すると発表した。新連載の提供は、13日より開始する。

 従来インターネット上の漫画コンテンツは、過去に出版されたものをデジタルデータ化し、二次利用という形式で提供されていた。だが今回のサービスでは、インターネット上でコンテンツが初公開される。本宮氏が楽天ダウンロードのために書き下ろした「サラリーマン金太郎」の続編を、楽天がネット上で一次利用する形だ。

楽天 代表取締役会長 三木谷浩史氏(左)と、漫画家 本宮ひろ志氏(右)

 これは、本宮氏から楽天 代表取締役会長の三木谷浩史氏に持ちかけた話だという。本宮氏は、「出版業界は流通形式などが完全にできあがっており、技術革新もない世界。つまり、このようなサービスは通常の出版社ではできないことだ。私が出版社から干されてしまう可能性もあるが、漫画がインターネットで求められているものなのかどうか、実験をしたかった」と、今回のサービスに対する意気込みを述べた。「紙媒体に新たな連載を書くエネルギーはなかったが、新たな媒体で始めるとなるとエネルギーが沸いてきた」(本宮氏)

 新連載は、インターネットの特性を活かし、効果音やBGMを盛り込んだものに仕上がっている。あくまでも漫画のため、声優による音声の吹き替えはないが、ドアを開ける音や風の音などが漫画を読む際に聞こえる。漫画のコマに合わせ、ひとコマずつコマ送りをする形式で視聴できる。

「楽天ビューア」で読む「サラリーマン金太郎」の新連載。金太郎が外資系銀行に転職するところからストーリーが始まる。

 視聴には、独自に開発された無料のアプリケーション「楽天ビューア」が必要となる。視聴料金は、期間限定で4話までを無料とし、5話以降は有料化を検討しているという。有料化された際の金額はまだ決まっておらず、「週刊誌やコミックの価格などを参考に検討したい」(三木谷氏)としている。ダウンロードした無料コンテンツは、60日間視聴が可能で、有料でダウンロードしたコンテンツについては、視聴期間の制限はない。

 本宮氏に会う以前から「サラリーマン金太郎」を読んでいたという三木谷氏は、利用者数の見込みについて、「30万人から50万人は見込めるのではないか」と述べた。

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