最も長い歴史を持ち、最も有名なオンラインコミュニティの1つが、米国時間4月1日に誕生20周年を祝った。
The Wellは1985年に、たった6台のダイヤルアップモデムを使ってサービスを開始したが、この質素なコンピュータ会議システムはすぐに「教養人の社交場」へと発展し、膨大な数のアーティストやテクノロジスト、ライターらを魅了することになった。
「ほかでは見ることのできない素晴らしい場所だ。何が起こっても勢いに衰えが見えない」とコミュニティディレクターのGail Williamsは述べている。
The Wellは、Whole Earth Catalogを発行していたStewart Brandが、カリフォルニア州サウサリートにあったWhole Earthのくたびれたオフィスの片隅に初期のVAXサーバを集めて立ち上げたものだった。まもなく、The Wellの会議室は知的会話の場所として知られるようになり、Kevin Kelly(Wired Magazineの編集者)やMitchell Kapor(Lotus Development Corporationの創業者)といった有名人が参加するようになった。
The Wellのなかには、インターネットの歴史を変えた会議室もあった。Grateful Deadの作詞を担当していたJohn Perry Barlowの書き込みを読んだKaporがワイオミング州に飛び、2人でElectronic Frontier Foundationを立ち上げたこともあった。そのほか、SF作家のWilliam Gibsonから現代のインターネットを指す「サイバースペース」という言葉をBarlowが引き出した話も有名だ。
一方で、参加者が会議室のなかでの発言を後悔したようなこともあった。1990年代の著名なWellメンバーだったJames Ruttは、Network SolutionsのCEO(最高経営責任者)就任時、あとで恥ずかしい思いをしないよう、過去の発言を数百件削除して非難を浴びた。
Wired Magazineは1997年にThe Wellの特集を組み、Tom Mandel(Time誌オンライン版の創案者)の生と死が、Wellでの自由な会話に与えた影響を詳しく伝えた。
テキストが主体だった1980年代、「Wellperns(Wellの住人)」はPicospanと呼ばれるやぼったいインタフェースの使用を余儀なくされていた。これはかなり不評で、Apple ComputerのCEO、Steve Jobsに、今まで見た中で最も醜いインタフェースだと呼ばれたこともある。なお現在でも、投稿の4分の1にはPicospanが利用されている。
商用インターネットが拡大し、ウェブサイトやメーリングリストの利用が増えるのにつれて、The Wellは会員数を減らし、現在その数は4000人前後で推移している。1999年にSalon.comに買収されたのを機に、ハードウェアが追加され、また会員限定の会話にウェブから参加できる方法が開発されるなど、新たな進展もあった。
「満10年めの時には、The Wellがこの先も存在するかどうか心配だった。しかし、いまはほぼ間違いなく40周年まで続くと思っている」(Williams)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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