リンクシェアCOO、アフィリエイト成功の秘訣を伝授

藤本京子(CNET Japan編集部)2005年03月01日 20時03分

 日本国内でのアフィリエイト市場が拡大する中、リンクシェア・ジャパンは3月1日、東京都内にて会社設立記念シンポジウムを開催した。これに合わせて来日した米リンクシェアの会長兼CEOのステファン・メッサー氏および社長兼COOのハイディ・メッサー氏に、日本市場への期待などを聞いた。

 リンクシェア・ジャパンは、2001年3月より米リンクシェアとパートナーシップを結び、三井物産の事業部のひとつとして活動を開始した。そして、2005年1月に三井物産から独立、法人化した。両氏が日本市場を重要視していることは、米国に次いで日本で事業化させたことからも明らかだ。

 日本市場に注目した理由についてハイディ・メッサー氏は、「参入前にさまざまな国で市場調査を行った結果、日本が最適な市場と判断したためだ。日本は他国よりブロードバンド環境が整っており、オンラインショッピングの経験者も多かった。携帯電話を使ったオンラインショッピングも浸透している」と述べ、アフィリエイトが普及するための基礎が日本にそろっていたことを指摘した。また、ステファン・メッサー氏は、「米国では直接取引を希望する場合が多いが、日本では仲介人が意志決定を手助けすることに対する満足度が高い」とし、売買を仲介する役目を果たすアフィリエイトが文化的に日本で受け入れられやすい理由を説明した。

米リンクシェア会長兼CEO ステファン・メッサー氏(上)と、同社長兼COO ハイディ・メッサー氏

 リンクシェア・ジャパンは、2004年末時点ですでに200社を超えるECサイトと提携し、会員登録だけでなくアフィリエイトリンクを掲載したアフィリエイトサイト数も4万3000サイトにのぼっている。日本で同事業が順調に成長したことについてハイディ・メッサー氏は、「三井物産の存在が大きい。現地の市場やビジネスカルチャーを知り尽くしているパートナーを見つけることは非常に重要だ。イーベイなど、数多くの米国企業が日本から撤退しているが、それも日本市場と米国市場の違いを理解できなかったからではないか。リンクシェアはもともと独自で日本進出するつもりはなかった。三井物産というパートナーがいたからこそ事業が順調に進んでいる」としている。

 また、ステファン・メッサー氏は、米国で事業を立ち上げた当時は、技術開発とビジネス展開を同時に行わなくてはならなかったが、日本ではすでに開発が完了したシステムを導入するだけでよかったことや、米国での成功例と失敗例から、どのようなECサイトと提携すればいいのかすでに理解できていたことなども、ビジネスが順調に成長している要因だとしている。

ヤフーのバリューコマース子会社化、リンクシェアはどう見るか

 こうした中、日本では2月28日にヤフーがアフィリエイトサービスプロバイダのバリューコマースを公開買付けにより子会社化すると発表したばかりだが、このことについてハイディ・メッサー氏に聞いた。同氏は、「非常に面白いと思う。ポータルサイトがアフィリエイトサービスプロバイダを買収するなど、少し前までは考えられないことだった。アフィリエイトが注目を浴びている証拠だ」と述べた。ポータルとアフィリエイトが結びつくことの影響については、「テレビのように幅広いユーザーを抱えるポータルは、人集めの役割を果たす。ただし、ポータルはひとつひとつの製品情報を掲載しきれないので、そこをアフィリエイトサイトがカバーできるのではないか。ポータルは入り口となり、最終目的地がアフィリエイトサイトとなるわけだ」と説明し、ポータルとアフィリエイトが相互補完関係にあるとした。

 これまでリンクシェアはポータルサイトに提携話を持ちかけられたことはないというが、もしそのような話があれば同社はどう動くのだろうか。ハイディ・メッサー氏は、「提携先サイトの方向性にもよるが」と断った上で、「われわれは常にオープンマインドでビジネスを行っている。どんな話でも積極的に耳を傾けるつもりだ」と述べた。

スーパーアフィリエイターになるには?

 最後に、ハイディ・メッサー氏にアフィリエイトサイトの成功の秘訣を聞いた。同氏によると、成功しているサイトは、顧客ニーズがどこにあるのか見極めたうえで、品揃えやサポートなどが整った便利なECサイトにリンクしているという。

 具体的な成功例としては、クリスマス前にぎりぎりまでプレゼントを用意しないアメリカ人が多いことに目を付け、クリスマスの数日前までオーダーを受け付け、当日に間に合うよう配達してくれるECサイトのみを集めたアフィリエイトサイトや、恋愛関係にある男女が相手にプレゼントを選ぶ際、つきあった期間の長さによってお薦め商品を紹介するアフィリエイトサイトなどがあるという。「ユニークなアイデアを生み出すことは大切なこと。アイデアが面白ければ、ユーザーは自然と集まってくる」とハイディ・メッサー氏は語った。

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