S・バルマー、ウェブ検索とオンライン広告の将来を語る

Stefanie Olsen (CNET News.com)2004年03月26日 09時53分

 ワシントン州レドモンド発-- Microsoftがインターネット検索技術にもっと 多額の投資をしなかったことは、同社にとって重大な失策だったが、同社は現在巻き返しを図っているところだと、同社最高経営者(CEO)Steve Ballmerが語った。

 「『Microsoftは何でもやる』と人々は言うが、この分野は我々があらゆるものをやってはいなかった例だ」とBallmerは25日(米国時間)、同社で5回目となる年次広告カンファレンスで、会場に集まったマーケティング業界やメディア業界の幹部らに述べた。Ballmerはその後、まるで熱心なフットボールコーチが試合後半に向けてチームを励ますように、Microsoftはまだ試合に参加しており、勝利するつもりでいると断言した。

 「この分野では、いい試合がたくさん見られるだろう」とBallmerは力強く述べ、持っていたペンを投げた。

 Microsoftは、最も競争の激しいウェブ分野の1つであるウェブ検索で巻き返しを図るため、困難な取り組みに挑んでいる。同社は現在遅れを取り戻そうと真剣に取り組んでいるが、いまのところあまりに出遅れているので、ウェブ検索結果のほとんどをYahooという自社の最大のライバルの1つからもらっている。そして今週、ヨーロッパの独禁法規制当局は、Microsoftに対しソフトウェアの設計方法を大幅に変更するよう命じた。同社はこの命令により、Windowsオペレーティングシステム(OS)の将来のバージョンに、検索などの新機能を追加しにくくなる可能性がある。

 BallmerはEUの裁定についてはコメントしなかったが、Microsoftの検索技術開発が好調に進んでいることをうかがわせた。同社は、検索ソフトウェア開発における最高の人材を数多く雇い入れてきており、ゆくゆくは検索業界で間違いなく最高の企業となるつもりだとBallmerは述べ、さらにGoogleの検索ツールにまつわる神がかりともいえる評判をこき下ろした。

 「魔法は存在しない。(適切な検索結果を提供するには)一生懸命に良い仕事を行うこと...そして核となるソフトウェアが必要なのだ」(Ballmer)

 Ballmerは、Microsoftの新検索エンジンの始動時期については、正確なスケジュールを明らかにしなかった。だが同社開発チームによる第1世代の技術は、今後1年以内に登場しそうだと同氏は語った。

広告業界幹部が結集

 同社の広告カンファレンスへの参加者は今年倍増し、インターネット広告市場が再び成長し始めていること、そして広告業界への関心が増大していることを伺わせている。MSNで売上に関する責任者(chief revenue officer)を努めるJoanne Bradfordは、同カンファレンスについて、オンライン広告を検討しているマーケティング業界やメディア業界の幹部が結集する最大のイベントの1つとし、参加企業の広告支出額合計は600億ドル以上に達すると説明した。

 Microsoftは午前の部で、参加者にオンライン広告への支出を促し、また同社の抱く将来へのビジョンを説明することに重点を置いた。何年も赤字を続けてきた同社インターネット部門のMSNは、2003年度に初めて黒字となった。しかし、Microsoftは、ユーザーがダイヤルアップからブロードバンド接続へ流れているなど、いくつかの大きな課題に直面している。

 MSNのBradfordによると、同部門では広告主となる企業に対して、2005年までに広告関連予算全体の8〜12%にあたる金額をオンライン広告に振り向けるよう勧めているという。MSNは、この主張を裏付けるために、オンラインメディアがオフラインでの購買習慣にますます大きな影響を与えるようになっていることを示す調査結果を提示した。このMSNが唱えるスローガンは、オンラインメディアは「あてにできる」というものだ。

 CEOのSteve Ballmerはさらに、今後10年間に、PCとテレビ、携帯機器を隔てる仕切りがもはや存在しなくなることから、全てのメディア支出が最終的にオンラインで使われるようになると語った。Ballmerの予測では、インターネットのほうが組織立っていてパッケージ化も進んでいるため、数年以内にほとんどの動画コンテンツが、テレビではなくインターネット経由で観られるようになるという。

 この発言は、同社の「MSN Video」という無料ストリーミングビデオサービスを広告主へ売り込む役に立った。Microsoftは最近、メジャーリーグ(MLB)の試合をオンライン放映する契約を結んだが、MSN Videoのビジネスは広告に支えられるている。

 Ballmerはさらに、PCをTVと接続する人々が増えていることを取りあげ、これが将来のIT技術のあり方と、デバイス同士が接続された世界、つまり全てがホームコンピュータを中心につながった世界の姿を示す初期の徴候だと説明した。

 「Microsoftでは、我々を取り囲む技術革新のインパクトについて、これ以上強気にはなれないほど強気だ。技術革新というのは、PC革命...インターネット革命...デジタル革命...そしてワイヤレス革命などだ」(Ballmer)

 しかしBallmerは、ターゲットを絞った検索広告を実現するための新技術の導入スケジュールは明らかにせず、これを具体的に述べるのははさらに難しいと語った。実は、同社で検索広告技術の開発を担当していたPaul Ryanという幹部が、1月にMicrosoftを退社しており、わずか4カ月しか同社に在籍しなかったことにはBallmerは触れなかった。

 また、MSNは先頃、今年夏に検索結果のページの設計を変更すると発表したが、これによりスポンサー付きの検索結果が明確に表示され、また提携先のOverture Servicesが提供する検索広告に対して、自社の広告をいっそう強調するようになる。

 MicrosoftのAmerican Online買収計画に関する憶測については、Ballmerはあっさりとこれを否定した。

 この話題についての聴衆からの質問に答えた同氏は、「この類の噂についてコメントするのはどんな場合も不適当なことだと思う」と述べ、さらに「Time Warnerとは非常に良好な関係を保っている...そうしてまた、AOLとは望ましい形で健全に競い合っている」と付け加えた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。

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