「自販機型ビジネスからの脱却を」--ドワンゴ小林社長が講演

永井美智子(CNET Japan編集部)2004年02月17日 20時13分

  携帯電話の着信メロディサービスで急成長したドワンゴの代表取締役社長、小林宏氏は、2月17日に開催されたモバイル・コンテンツ・フォーラムのセミナーにて講演を行い、同社の成長戦略について語った。

  ドワンゴは着メロ配信サイト「いろメロミックス」などを運営する携帯コンテンツプロバイダ。いろメロミックスの会員数は約400万人で、業界第2位の売上を誇るという。2003年7月には東京証券取引所マザーズに上場した。

ドワンゴ代表取締役社長の小林宏氏

  小林氏はまず、従来の着メロビジネスについて「自動販売機型ビジネスだ」と表現する。「自動販売機の場合、ユーザーはたまたま近くにあったものを利用しただけで、どこの自動販売機でも気にしない。もともとあった楽曲を2次利用するだけの着メロも同じことだ」(小林氏)

  それに対し、同社が目指すのはコンテンツホルダーとWin-Winの関係を築くコンテンツプラットフォームとしての存在だと小林氏は話す。新たな付加価値を持つコンテンツを提供するとともに、ユーザーの利用動向などを踏まえて効果的にコンテンツを配信することで、コンテンツホルダーの収益機会も高めるというものだ。さらに、コンテンツのイメージが高められたり、プロモーションにつながったりするような形で魅力的なコンテンツを配信することは、コンテンツプロバイダにとっても差別化になるという。

  その一例が同社の新サービス「着と〜く」だ。これは着信ボイスと呼ばれる、人気アーティストなどの声で着信を知らせるサービス。通常の4倍となる約20秒のボイスや、動画や効果音を組み合わせたムービーを提供している点が特徴だ。「これはアーティストとのコラボレーションによる新たなコンテンツだ」(小林氏)。昨年11月にサービスを開始し、2月には1週間のダウンロード数が20万件にのぼったという。

  さらにドワンゴでは、客単価を高めるために新サーバシステムの自社開発にも取り組んだ。これは、同社が運営する複数のサイト間で連携が図れるようにしたものだ。具体的には顧客データベースを共有させてコンテンツ購入ポイントを共通化したほか、複数サイト内の検索を可能にしたという。これにより9月末時点で304円だったいろメロミックスにおける客単価が12月末には320円に上がったほか、同社が運営するいろメロミックス以外のサイトの登録者数も9月末の12万8000人から12月末には23万人に増えたという。

  小林氏は、今後携帯コンテンツプロバイダの業界再編が進み、生き残りのための競争が起こると予測。企画力や技術力と400万人のユーザーを武器に、自社コンテンツの配信に特化して生き残りを図りたいとして講演を締めくくった。

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