問題の電子投票システムメーカー、著作権違反の警告を撤回

 米Diebold Election Systemsが2つの脅威にさらされている。まず言論の自由の擁護者たちが同社に対し金銭賠償を求めており、さらに大統領候補の一人が議会に同社の調査を行うよう促している。

 世界中で使用されているタッチパネル方式の電子投票システムを製作しているDieboldは先頃、同社の社内メールの内容をウェブ上に掲載したり、あるいはこれを掲載するサイトにリンクを張ったユーザーが加入する、多数のインターネットサービスプロバイダ(ISP)に対して、著作権侵害であるとの警告を発していた。そのDieboldが1日(米国時間)、この警告を撤回することを改めて表明した。

 Dieboldがデジタルミレニアム著作権法(DMCA)の規定に基づいて行ったこれらの警告に関して、それを受けた側のISPの1社とスワスモア大学の2人の学生が、逆に同社を提訴した。ISPのほうは、同社のサービスを利用する加入者が、問題の文書へのリンクを張ったとして、Dieboldから警告を受けており、また学生向けにインターネットサービスを提供しているスワスモア大学でも、同様の警告を受けとったため、掲載されていた問題の文書のコピーをウェブ上から削除していた。

 DMCAの規定には、著作権者はISPに著作権侵害の事実を警告した上で、訴訟を起こす前に侵害行為を停止するよう要請できると定められている。言論の自由の擁護者たちは、Dieboldの警告は著作権を保護する目的よりも、自らが損害を被らないための対策の意味合いが強いと主張している。

 問題の社内メールの内容は、Dieboldのソフトウェア、セキュリティ、認証、販売のやり方等について批判したものだった。

 Dieboldは11月24日にカリフォルニア州サンノゼの地裁に提出した訴状の中で、DMCAに基づく警告を撤回し、同社の社内メールの内容をウェブ上に掲載したユーザーおよび、彼らが加入するISPを提訴しないことを示唆したが、同社は12月1日に法廷でその意向を改めて表明した。

 しかし、Online Policy GroupというISPの弁護団は、Dieboldに対する訴訟を今後も継続する意志を示した。Online Policy Groupは、顧客のIndymediaが、Dieboldの社内メールをウェブ上に掲載こそしなかったが、リンクを張ったとして、Dieboldから警告を受けた。

 Online Policy Group側は、Dieboldの社内メールの公表または、それらのメールへのリンクを張る行為が、著作権侵害に当たらない旨を明示した裁判所命令を求めると共に、Dieboldの虚偽の陳述について、DMCAに基づき金銭賠償を請求することを明言した。

 電子フロンティア財団(EFF)の弁護士、Wendy Seltzerは1日の公判後に行われたインタビューの中で、「Dieboldによる警告の撤回は、言論の自由とコミュニケーションフォーラムとしてのインターネットにとって大きな勝利であり、著作権の中で保たれるべきバランスの公的な面を再確認させるものだ」と述べた。

スワスモア大学の学生の代理人を務めたSeltzerは、企業にDMCAに基づく差し止め警告を安易に行なわせないようにするため、Dieboldに金銭賠償を請求すると語った。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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