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日本でもBlogへの企業参入相次ぐ、今後の行方は?

2003/11/17 12:13
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 いよいよ日本でも、米国を中心に流行中のBlogに取り組む企業が増えてきた。ニフティやNTT-Xなどの国内大手企業が、相次ぎBlogサービスの展開を決めている。すでに国内のベンチャー企業数社が今年前半からBlogサービスを提供しているが、利用しているのはごく一部のインターネットユーザー。既存会員やユーザーを多く抱え、資金力もある大手の参入で利用者の裾野が広がりそうだ。

 インターネット業界に大きなインパクトを与えたのは、「ニフティ参戦」のニュース。既存会員を500万人以上抱える国内プロバイダ最大手がBlogを始めるだけでも大きなニュースだが、Blog制作ツールの王道と言われる「Movable Type」の開発元、米Six Apartと提携するという話は、業界関係者に驚きを与えた。

 ニフティは「早ければ12月からBlogサービスを始める」(ニフティ広報)としている。現在、米Six Apartと契約交渉を行っている段階で詳細は不明だが、米Six Apartが9月から米国で提供しているホスティングサービス「TypePad」の日本版をニフティがいち早く始めるものだと思われる。「当初は会員向けに無料で提供する計画」(同)。ISPの会員だけでなく、誰でも無料で登録できるポータルサイトの会員も対象だという。

 TypePadは、もともと多言語対応をしており、日本語のBlogを作成することもできる。しかし、マニュアルやツールなどはすべて英語で、月額4.95〜14.95ドルの有料サービス。決済もドル建てで行われるため、一般のインターネットユーザーには敷居が高かった。ニフティのサービスはこの敷居を解消するため、すでにインターネット上では「TypePadを手軽に使える」とユーザーからの期待が高まっている。

 NTTデータとエッジは、試行サービスという位置づけで、揃って11月頭にBlogサービスを始めた。NTTデータは11月4日、Blogサービス「Doblog」を開始、来年3月末までを実証実験の期間とし、そこで得られたデータなどをもとにビジネスとしての可能性を探る。こちらは国内ベンチャーのホットリンクと提携し、同社の技術支援を受けてBlogサービスを開発した。NTTデータでは以前から化粧品情報のコミュニティサイト「@コスメ」を運営するアイスタイルに出資するなどオンラインコミュニティを使ったデータマイニングのビジネス化に取り組んでいる。顧客となる企業側のニーズとして、コミュニティの中でやりとりされる文章のテキストマイニングに対する関心が高まっており、Blogのホスティングを通じてこうしたノウハウを蓄積したい考えだ。

 一方、無料プロバイダのライブドアを昨年に買収したエッジは11月1日、ライブドアのポータルサイトで「livedoor Blog(β版)」を開始した。もともとインターネット関連のシステム構築が主な事業であるエッジは、Blogサービスを自社開発した。NTTデータと同様、無料サービスであり、こちらは「livedoor IDの会員登録を増やすための特典として考えている」(エッジ ライブドア事業部 ライブドアグループ 有賀之和氏)という。

 NTT-X(goo)も、来年春までにBlogサービスを開始する。NTT-Xではすでに社内のナレッジマネジメント用にBlogシステムが稼働しているが、現在は12月にリリースする新検索システムの開発に資源を集中させており、外向けのBlogサービスのリリースは来年3月までを目処ととしているという。ポータルサイトgooの機能として無料で提供する計画だ。

ネット通販とBlogが連携することで、新たな収益源に

 大手ISPやポータルサイトなど、大手企業によるBlog市場への参入は今後も相次ぐと見られる。とくにニフティがBlogサービスの開始を決めたことで、「ISP大手やポータルサイト大手は計画の前倒しを迫られるだろう。来春までには各社のBlogサービスが出そろうのでは」(ISP業界関係者)とする見方もある。

 このように、ここに来て各社がBlogに注目している理由は、単に「ユーザーのニーズに応える」、「アクセスを増やす」という、従来のネット上のサービスと同じものではない。各社は、Blogサービスをネット上での消費行動のプラットフォームと見立てることで、「広告に代わる新たな収益源として期待を寄せている」(NTT-X ブランドマネージャー 鈴木基久 氏)のだ。

 Blogは、トラックバック機能やコメント機能などで、あるBlogや、特定の記事に関心を寄せるユーザーが集まりやすいという特徴がある。不特定多数を相手にするよりも、関心を持つ人間を相手にした方が、モノが売れやすい。Blogは、同一人物が日々サイトを更新していくので、匿名であっても書き手の顔が見えやすい。「この人が薦めるなら買ってみようか」と思う場面も出てくるはずだ。ここに、各社は大きな魅力を感じている。

 すでに、今あるBlogにその一端を垣間見ることができる。Amazon.co.jpのアフィリエイトプログラム(Amazonではアソシエイト・プログラムと呼んでいる)に参加し、自分のBlogで書籍を紹介しているBlogユーザーが増えているのだ。Blogユーザーは記事に関連する書籍を紹介し、Amazon.co.jpへのリンクを貼る。そこで誰かが本を購入すれば、Blogユーザーにキャッシュバックされる仕組みだ。

 この例は、個人とネット通販との契約行為に閉じた話だが、ここにBlogサービスの運営者も一枚咬めば、様々な可能性が広がる。例えば、運営者が特定企業と提携し、その企業の商品がBlogの紹介を通じて売れた場合、Blogユーザーとキャッシュバックを折半する、といったモデルが考えられる。実際、こうしたモデルを模索するために「国内のベンチャー企業とAmazonが話し合いを持っている」(関係者)という話もある。商材は、本だけではなく、一般消費財から金融、旅行など無限に広がる。

 さらに、Blogサービスにネット通販のWebサービスを組み込んでしまえば、Blogユーザーは煩雑な作業なく、商品を紹介することができるようになる。商品の番号を指定するだけで、商品の写真や概要、値段などを自動表示させることも可能だ。それだけでなく、相手企業の商品の検索機能や、購入機能自体をBlogに持たせることもできるようになる。

 こうした可能性をニフティなど各社は敏感に察知したというわけだ。Blogサービスとネット通販の間のビジネスモデルが確立されるまでは、まだ時間がかかるかもしれない。だが、実現するためには、Blogユーザーがいなければ話にならない。そのため、直近はユーザーの囲い込みが激化するだろう。

携帯電話向けBlogやBlogポータルなど、ベンチャーも新たな戦略に

 このように、今年秋から大手企業が一斉にBlogビジネスへ乗り出すが、すでに数社のベンチャー企業が、今年春頃からBlogサービスを始めている。例えば、ネット上でお気に入りのサイトを登録し、登録したサイトが更新されるとユーザーに通知するサービス「はてなアンテナ」を運営するはてなは今年3月に、北海道の特産品のネット通販を手がける北国からの贈り物は今年4月に、それぞれBlogサービスを開始している。

 しかし、既存会員やユーザーを多く抱える大手が参戦すれば、集客力で負けるのは目に見えている。そこで、Blogに関連した新たなサービスを打ち出すベンチャーが増えてきた。

 ネットエイジは10月、携帯電話のユーザーに特化したBlogサービス「Moblo」を試行的に開始した。携帯電話から写真や記事をアップできるBlogサービスはあるが、携帯電話からBlogを参照できるサービスは国内ではこれが初めて。パソコンからも参照でき、既存のBlogともトラックバックでつながる。「カメラ付き携帯がこれだけ普及しているので、パソコンよりも敷居が低いと判断した。カメラ付き携帯のキラーアプリケーションになることを目指す」(技術開発担当執行役員の佐藤僚氏)。

 また、XMLベースの「RSS(RDF Site Summary、Rich Site Summary)」形式で記事の要約を配信する機能がBlogのデファクトになっていることに目を付け、Blogが記事の更新毎に配信するRSSデータを集約するBlogのポータルサイトを開設するベンチャーも出てきた。

 今年8月にBlogサービスを始めたドリコムは11月、Blogのポータルサイト「Myblog Japan」を開始した。Blogをカテゴリ別に整理したディレクトリを用意し、更新通知を受け取ったBlogの記事を新着順に紹介している。記事のキーワード検索も可能。

 ネットエイジも携帯電話向けBlogの開始と同時に、Blogのポータルサイト「BLOGNAVI」を開始した。Myblog Japanと同様に、Blogの記事概要を新着順に表示し、キーワード検索ができるが、ディレクトリはない。新着記事は更新通知を受け取る方式ではなく、クロールによるものだ。インターネット上のRSSデータを収集するシステムを開発し、1日4回RSSデータを吐き出しているサイトを巡回しているという。「今後は検索窓を他のサイトに設置して検索機能を使えるようにしたい」(佐藤僚氏)考えだ。

 これらのBlogポータルは、日々増殖するBlogに対応できていない点や、ナビゲーション機能が弱いなど、使い勝手に難もあるが、RSSデータを活用していくことで、徐々に改善されていくと見られる。大手の参入でBlogサイトが増えれば、これらのポータルサイトの価値も高まりそうだ。

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