フセインの息子の死亡写真掲載で揺れるオンラインニュースサイト

 米国政府が24日(米国時間)、イラク元大統領Saddam Husseinの2人の息子の死亡写真を公開すると、瞬く間にその写真がネット上を駆け巡った。いま、各ウェブニュースサイトでは、これらの写真をどのように掲載すべきか、あるいはそもそも掲載すべきかどうかについて、議論が巻き起こっている。

 2人の息子UdayとQusayの血まみれで傷だらけの写真は、New York TimesからGoogle News、MSNBC、Al-Jazeera(アルジャジーラ)などのサイト上に掲載された。米国政府は、これら写真を公開した理由について、2人の死に懐疑的なイラク国民に対して、その証拠を示すためだとしている。

 各ニュースサイトが写真掲載に際してとった方法は、じつにさまざまだ。写真をそのまま掲載したサイトもあれば、ユーザー側に詳細な写真を見るかどうかの選択肢を与えたケースもある。

 Googleは、写真をそのままニュースページ上に掲載した米国サイトの1つ。7月24日朝、ニュースシステムが自動化された同サイトでは、ページ右側のFox News Storyの欄に小さな写真が掲載されていた。だが少し後、その写真はもっと小さい画像へと置き換えられた。このような形で写真を掲載したサイトの多くは、直接記事上ではなく、記事ページからのリンクに含まれる形でトップに掲載している。

 だが、新聞とは異なり、多くのサイトではユーザーに対して手段や閲覧の有無についての選択肢を与えており、朝食中の人々を一面などに掲載されたどぎつい写真で驚かせることもなかったようだ。

 その中で、MSNBCの写真掲載手法は、マスコミ関係者から称賛を浴びている。同社が採用した手法は、編集者の注意書きの添えられた写真サイズの枠を用意し、希望したユーザーにのみ閲覧させるというものだった。

 メディア研究所Poynter Instituteで放送/オンライングループのリーダーを務めるAl Tompkinsは、このMSNBCの手段を「見事なもの」と称したうえで、人々に選択の余地を与えるというウェブの能力が、結果として本当のサービスを提供することにつながっていると話す。「私は、このような人々の判断に必要な情報を与え、どの程度の情報を必要としているかを選ばせる手法が好きだ。これこそが自由というものなのだと思う」(Tompkins)

 New York TimesやCNNをはじめとするサイトでは、これらの写真をイメージの一部として使用していた。例えばCNNでは、Uday Husseinの写真がTVの画面上に写っているのをイラクの人々が見ているという写真を掲載した。だがその傷は、銃撃によってはっきりとは確認できない。またCNNでは、有料ビデオ配信を申し込んだユーザーや無料コンテンツへのアクセスを行うユーザーに対して、同兄弟の生前と死亡後の比較写真を提供している。CNNはいずれのケースにおいても、「これらイメージは生々しい写真となっている」ことを警告している。Fox Newsもやはり、同兄弟の生前死亡後の小さい写真を掲載している。

 アラブ系ニュースサイトのAl-Jazeeraでは、トップページにこの写真の巨大版を掲載していた。

 このように、オンラインサイト上に写真を載せるべきかどうかの議論は、長年にわたって繰り広げられている。特にインターネットにおいては、人々がアンダーグラウンドなサイトから容易にこういった画像を入手することが可能だからだ。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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