インターネットが社交の場になる?

 Webのマルチメディア性、Blogでの個人同士のつながり、IM(インスタント・メッセージング)のもつ社会的なダイナミズムなどの素材を揃え、これに芸術理論とビジネス戦略を加えて、よく混ぜ合わせてみよう。

 米Netomatは、元々ある現代アートのプロジェクトとしてスタートしたベンチャー企業だが、同社ではこれがインターネット革命のレシピになることを望んでいる。ニューヨーク州に拠点を構える同社は、インターネットソフト用のあるソフトウェアを開発し、そのテストバージョンの配布を22日(米国時間)に開始した。このソフトは、馴染みのあるインターネットの慣習と新奇なアイディアとを組み合せ、Webでのコミュニケーションのあり方を変革することを目論んでつくられたものだ。

 「インターネットも、他の社会的なメディアと同じく、会話に参加する個人が主体となれる場であるべきだ」と、Netomatの創始者であるMaciej Wisniewskiは語る。

 Netomatのソフトウェアは、ベータ版テスト終了後に会員向けサービスへ変身する予定だが、これにはホスティングサービスやブラウザー、そして「Netomatマークアップ言語」でページを作成するデザインツールを含む。なお、Netomatマークアップ言語は、Wisniewskiが米Sun MicrosystemsのJavaをベースにつくりだしたオープンな標準だ。Java Runtime Environmentの初期のバージョンを選んだ理由について、 Wisniewskiは安定度が高く、広く普及しており、またローエンドのPCでも負担が少ないからと説明している。

 同ソフトのデザインメニューは、ページに写真やテキスト、音声を加えるためのシンプルなツールを集めたものだ。数枚の写真、作成者からの音声による挨拶、簡単なテキストで構成される平均的なページならば、数分で作成・発行できるという。

 また、Webページの閲覧者は、絵や文章、リンクやその他のコンテンツを加えることができる。その後にこのページにアクセスしたユーザーは、元々のページと、他のユーザーによる追加箇所の両方を閲覧できる。さらに、作者がページへのアクセス設定を変えて、ふつうの静的なものから、常に変化するものまで、さまざまな落書き用の「壁」ができる。

 Wisniewskiは、ソフトウェアを芸術と捉えるプログラマーで、1999年にHTMLを使った静的なWebページに代わる選択肢の可能性を探るネットワークベースのアートプロジェクトとして、Netomatを開始した。80カ国100万人以上のユーザーが同社のソフトウェアをダウンロードし、これを用いて作成されたサイトは数千にも及ぶ。

 Netomatの共同CEOであるAlan Gershenfeldは、Netomatのアイディアに感動し、これに芸術以外のチャンスを見てとった。彼ともう一人の共同CEOであるKris Ramanathanは、ソフトウェアの開発の先頭に立つと同時に、ベンチャーキャピタリストと芸術関係の組織という奇妙な組み合わせから財務的支援を獲得した。「ロックフェラー財団は、われわれの文化面での可能性に着目して、助成金を出してくれた」とGershenfeldは述べている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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