検索市場「三強」時代の幕開け-マイクロソフトによるグーグル買収の噂も

 米Yahooの、総額16億3000万ドルに上るOverture Services買収により、ウェブ検索市場での劇的な再編成が起こり、それが米Microsoftという眠れる巨人を目覚めさせるかもしれない。

 Yahooは、有料検索エンジンの先駆け的存在で、最大の事業者でもあるOvertureを買収したことで、同分野への真正面からの参入を発表した。この買収により、Yahooはオンライン広告市場のなかでも一番の成長分野における最大手として、脚光を浴びる存在となった。その結果、3年越しの検索パートナーであるGoogleや、ウェブポータルの分野で最大のライバルであるMicrosoftのMSNとの間に緊張が高まることになる。

 目下、Yahooにとっての直接的な対決相手はGoogleだが、業界アナリストたちによると、最も問題なのはMicrosoftの今後の動向だという。現在MSNは、Overtureの最大のパートナーであり、今年OvertureがMSNを通じて得た利益は、収入全体の3分の1にあたる推定3億5000万ドルにも上る。その結果、業界ウォッチャーの多くは、MSNが自社のウェブサイト上の検索エンジンをOvertureからGoogleに変更したり、独自のウェブ検索技術の構築を急ぐなど、ほかの選択肢を検討するのも時間の問題と見ている。

 「Overtureは常々Microsoftが親密な友好関係にあるパートナーだと述べ、実際自社のクローラー(検索エンジンの情報収集ロボット)を使ってMicrosoftを支援しているが、今後も同様の友好関係が続くとは思えない」と語るのは、検索エンジン業界の専門家で、ニュースレター「SearchEngineWatch.com」の編集者でもあるDanny Sullivan。「Yahooがこの技術全てを自ら所有する必要があると判断し、それでMicrosoftも不本意な行動に出ざるを得なくなった。仮にあなたがMSNだったとして、Yahooの動きに先手を打たなくてはならない場合、Googleとの提携か、あるいは同社の買収以外に有効な手段はあるだろうか」(Sullivan)

 検索関連広告は、いまウェブ広告市場の中で最も売上げを伸ばしており、オンラインマーケティング業界ではまさに金の卵を産むガチョウのような存在だ。インターネット広告業界団体のIABによると、商業検索サービスの総収入は、インターネット広告業界の総収入およそ60億ドルの約15.4%に上るという。

 2002年の有料検索サービスの総収入はおよそ10億ドルで、2001年から200%以上増えた。金融分析会社Salomon Smith Barneyの推定では、有料検索エンジン市場が2003年に推定14億ドル規模に達し、その後も毎年30〜35%ずつ成長、2008年までに50億ドル規模に達すると見られている。またこの市場が、2000億ドルの規模を持つ、従来型ダイレクトマーケティング業界にも食い込みつつある。

 14日の買収発表は、4つの検索サービス企業を傘下に収めたYahooによる、一連の買収の頂点ともいえる。昨年12月、同社はInktomiを2億3500万ドルで買収、いっぽうOvertureも過去8カ月間にAltaVistaとFast Search & Transferの両社から、競合するアルゴリズム・ベースの検索技術を購入し、その投資額は約5億ドルに上る。

 この結果、ウェブ検索市場はいま、Yahoo、Google、Microsoftという主要3社に集中することになった。

 仮にMicrosoftが、検索市場での戦いに跳び込んでくるようであれば、今回のYahooによるOverture買収が、結果的に業界の統合を早めるとの可能性もある。最近では、MicrosoftがGoogle買収に動くとの噂も浮上してきているが、ただしGoogleにとってそうしたオファーがどれほど魅力的かは未知数でもある。株式未公開の同社は、IPOに向けて準備中であることが広く知れ渡っており、もしこのIPOが実現すると、現時点でMicrosoftが妥当と考える提示額を大きく上回る金額を手にするということも考えられるからだ。

 Microsoftには、たとえばFindWhat.com、LookSmart、AskJeevesのような、一段格下のクラスの商用検索会社を買収して、Yahooに対抗するという手もある。そのせいか、同日LookSmartの株価はほぼ25パーセント上昇して4.21ドルとなった。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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