「とんだお門違い」:連邦裁判事、米メリルリンチに対する個人投資家の訴えを却下

 証券アナリストが不正な調査報告をまとめ、これがドットコムバブル崩壊時に投資家に膨大な損失を与えたのではないかとして、米大手証券会社Merrill Lynchを提訴した2件の代表訴訟を、連邦裁判事が却下した。

 米国時間7月1日に下されたこの判決は、個人投資家側に完全な責任があるとしており、裁判にあたった判事は、これらの投資家について、「極めて不安定で、ほとんど実績のない株式」を保有し、「理に合わないリスク」を負いたがる「ハイリスクを好む投機家」と言及した。マンハッタン連邦地裁のMilton Pollack判事は、この判決文の中で、2000年の株式市場崩壊を受けて株価が一気に下落した24/7 Real MediaとInterliantの株式に言及している。

 株価の下落速度が加速しても、多くの証券アナリストは投資家に対して、既に暴落した株式を購入するよう促すレポートを発行し続けていた。さらに、米連邦議会までが景気悪化の責任をウォールストリートのアナリストに負わせようと試みた。

 この時期から、証券各社は投資家グループの起こした数多くの集団訴訟に直面してきている。これらの投資家は、証券各社が自社の調査報告のなかで取り上げた企業から投資銀行業務の取引を得ようとして、偽りの、もしくは誤解を招く分析レポートを発行して、証券法に違反したと主張している。

 とりわけ原告側に厳しい文言を考慮すると、1日に下された判決は同様の集団訴訟を多数抱えるMerrill Lynchのような投資銀行にとって、極めて重要な勝利といえる。

 「法廷で明かされたすべての事実ならびに本件を取り巻く情況を考慮し、また原告側の長々しく、敵愾心をあおり、不当に一般化した申し立ての全てを真実として受け入れ、本法廷は原告の申し立てにあるような詐称と不作為が、詐取目的での詐称と不作為だと認識するに足るものだとの確信が全く持てない」(Pollack判事の判決文)

 Pollack判事は、こうしたハイリスクを負いたがる投資家たちは「証券法をねじ曲げて、これを無料の投機家向け保険にでもしたいと考えているのだろうが、投資に失敗したのは当然の結果である」と付け加えている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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