「スパムを根元から断つ」、米マイクロソフトが本腰

 米Microsoftがアジア太平洋地域で本格的なスパムメール対策に乗り出した。同社は迷惑商用メールの対策キャンペーンを全世界で展開しており、その一環として、スパムメールのフィルタリング機能強化と、法的措置の行使、ならびに教育活動を行なうとしている。アンチスパム関連の法律が整備されていないアジア地域においては、「政府機関に対し、関連法案の作成を支援していく」(Microsoft)という。

 各種の調査報告によると、世界中で送りつけられるスパムメールのうち、アジア地域、とくにアンチスパムの法律整備が遅れている中国、韓国、台湾から送信されたものが、相当の割合に上るという。また、メールサーバのオープンリレーをスパマーが悪用するなど、脆弱なセキュリティ体制も、アジア地域でスパムが氾濫する要因になっているという。

 Microsoftのアジア担当CTO(技術最高責任者)、Peter Mooreは、「スパムメールは急速に、電子メール利用者が直面する最も深刻な問題となりつつある。今や電子メールのトラフィックのうち、50%以上がスパムだ」と語る。

 これに対抗すべく、同社では「今後リリース予定のMSN、Microsoft Exchange、およびOffice 2003で提供されるメッセージング/コラボレーション用のプログラムOutlookでは、スパムを検出し、また送信者の身元の真偽を確認するフィルタ機能を備える」(Moore)という。

 Microsoftによれば、MSNが提供するウェブベースの電子メールHotmailは、1日あたり24億通のスパムメールをブロックしているという。このようなスパムメールを防止するため、Microsoftではメール送信リストの作成を抑止するHuman Interactive Proof(HIP)を採用している。HIPは、コンピュータが自動生成したMSNアカウントを使ってスパムメールが送信されるのを防ぐ仕組みで、これにより「MSNは電子メールの登録件数を約20%削減した」(Moore)という。

 また、今後リリース予定のExchange Server 2003では、スパムメールを検出するためのリアルタイムブラックリスト(RBL)を適用した、接続フィルタリング機能を提供する。「Exchange Server 2003では、アンチスパム企業がより精密なフィルタを構築できるツールを提供する」(Moore)という。

 「我々は次々とアンチスパム技術を導入しているが、こうした技術的なソリューションは、包括的なスパム対策の一部分に過ぎないことを理解してほしい」(Moore)

 Microsoftは今後、スパムメールについての教育活動に関し、アジア地域の政府機関や企業グループと協力していく計画である。「スパムに対抗し得る安全なコンピュータシステム」に重点をおいた活動を展開していくという。

 なお、スパムメールの法的措置については、同社ではこれまでに米国と英国のスパマーに対して、15件の訴訟を起こしている。世界のなかでもスパムの2大送信元となっている中国や韓国では、これを規制する法的枠組みが整備されていないため、スパマーを相手取った訴訟を起こすのは、欧米の場合ほど簡単にはいかないと見られている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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