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米ヤフーと米AOL、運命の大逆転

2003/01/23 11:22
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 インターネット大手2社、米AOL Time Warnerと米Yahooの運命は過去2年間で一気に逆転した。この逆転劇で、インターネットの落とし穴と新たな希望の両面が浮き彫りになったといえる。

 この変動は何ヶ月もの間に徐々に進行していたが、AOL Time Warnerと低迷する同社のAmerica Online(AOL)部門の混迷状態が続く中、先週Yahoo が大幅な増収増益を発表したことで一気に表面化した。2年前と比較しても、これほど両社の差が鮮明になったことはなかった。

 当時AOLはTime Warner との合併を完了したばかりで、会長に就任した創立者Steve Case は一躍世界最大のメディア企業のトップとなった。一方Yahoo は忍び寄るインターネット広告市場暴落の影響で大幅な業績見通しの下方修正を余儀なくされ、2001年の収益見通しは最終的に約半分にまで引き下げることとなった。

 「2年前は、加入料と広告料というバランスが取れた収入源を確保していたAOLに対し、収入を広告費のみに依存していたYahooの劣勢は誰の目にも明らかだった。しかし今日形勢は一気に逆転し、Yahooはよりバランスの取れた事業を展開している」とKaufman Brosのアナリスト、Mark Mayは語る。

 現時点でYahooが全ての問題を解決したのか、あるいはAOL部門に何らかの回復策があるのかを判断するのは時期尚早である。しかし今両社が向かっている方向性を検討することで、インターネット業界を再建するにあたり何が効果的で何が効果的でないかを知ることができる。

 皮肉にもYahoo が描いているシナリオの重要部分の多くはAOLの戦略から引用しており、一方のAOLは今後いくつかの分野でYahooに追随しようとしている。

 しかしこれはYahooが抱える問題が全て解決されたという意味ではない。確かに同社の広告収入は増加したが、オンライン広告支出が全般的に伸びているかどうかは依然疑わしい。またYahooは収益源の大半をOverture Servicesとの提携に依存している。それ自体は悪くないが、同社がこの提携に過度に依存しすぎているとの懸念も広がっている。

 それでも、2001年5月にTim Koogleの後を継いでYahooのCEOに就任したTerry Semel指揮の下に行われた数々の投資は、投資家たちを喜ばせ、反論者たちを黙らせるのに十分な効果を発揮した。Yahooは22日、3四半期連続の増益を発表した。それによると、純利益は4620万ドルで、収益は51%増の2億8580万ドルであった。

 これは、Yahoo が2001年1月10日に発表した数字と大きくかけ離れている。その日Yahooは年間収益見通しを14億2000万ドルから12億ドル以上13億ドル未満に下方修正した。同社2001年の最終的な収益は7億1740万ドルだった。Yahooがこの収益発表を行った翌日、米連邦通信委員会(FCC)はAOLとTime Warnerの合併を承認した。FCCは合併承認にあたり、1年間に及ぶ厳密な検討を行ない、合併後のAOL Time Warnerから多くの譲歩を引き出した。

 Yahooが決算発表を行った22日、ウォール街のアナリストたちはYahooの好業績を示す数字だけでなく、有料サービスといった分野での成長にも感銘を受けた。有料サービス分野の成長は、Semelが在任中のベンチマークの1つと考えていた。

 Yahooの最高業務執行責任者(COO)、Dan Rosensweigは22日に行なわれたインタビューの中で、「Terry Semelの構想は、まずユーザーとの間により深く強い関係を築き、その後外に目を向け、事業拡大、買収、提携を通じて企業価値を高めていく。この戦略を実行に移したら、その後はいかにして最高の結果を出すかが焦点となる」と語った。

 AOL経営陣のコメントを求めたが、同社代表はこれを辞退した。

 一方、Yahooの中核事業であるウェブサイト上の広告スロット販売も改善の兆しを見せている。Bear Stearnsの株式アナリスト、Jeffrey FielerはOvertureを除くYahooのオンライン広告収入は昨年から11%も上昇したと推測している。

 Yahoo がここまで成功を収めた最大の要因は、かつてドットコム・ブームの最中同社が軽視し、冷遇していた広告代理店との関係を強化したことにある。

ブロードバンドビジネスの見直し

 AOL Time Warnerもわずかの間ではあるが、新しい通信技術やニュース、音楽、映画の配信チャンネルにかつてないほどの強大な力を及ぼし得る新生のメディア大手として恐れられた。しかしその後間もなく急激な景気下降と企業内の内紛の犠牲となった。

  AOL Time Warner のCase 会長は今週、会長職を5月に辞任し外部重役に就任すると発表したが、その背景に内部からの圧力があったことも明かした。次期会長にはCEOのRichard Parsons が指名され、5月にも新しい会長兼CEOに就任する予定。

 AOL Time Warnerは1月29日に収益発表を予定している。Parsonsが抱える主な問題としては、およそ260億ドルにも上る負債の処理とAOL部門の立て直しが挙げられる。AOL部門もかつては成長の牽引役ともてはやされたが、その後は同社の利益拡大を妨げるお荷物的存在となっている。

 2002年に元USA Interactive幹部のJonathan MillerがAOLのCEOに任命され、事態の打開という難題を受け継いだ。

 Yahoo の変化はAOLに希望を与えるに違いない。AOL が2002年12月に概要を発表した独自の野心的な再建計画には、Yahoo が2001年11月から実施している計画と類似する部分が多いが、これはさほど驚くべきことではない。類似点の具体例としては、広告代理店との関係強化、有料サービスの立ち上げ、ブロードバンドプロバイダとの提携などが挙げられる。

 しかし、AOLの再建を賭けた勝負の行方は、AOLが抱えるある重要なジレンマ次第といえる。Yahooが陥ることのないそのジレンマとは、現在、3500万人の加入者を抱えるAOLのナローバンド事業が危機に瀕していることだ。

 2年前AOLの復活宣言を後押しした最大の根拠の一つは、同社が抱える莫大な数の加入者であった。メディア/インターネット業界はAOLとTime Warnerが合併した際、新会社のブロードバンド事業での成功を恐れ、震え上がった。

 当時、AOL Time WarnerはまずAOLのナローバンドの顧客層をより高速なブロードバンドの世界へと移行させ、その後ブロードバンドサービスの顧客向けにより多くの双方向サービスの販売を行うことが可能であるという見方が支配的だった。AOL Time Warnerの当時のCOO、Robert Pittmanは2001年12月に行なわれた演説の中で、ブロードバンド加入者1世帯当たり月に159ドル、またTime Warner Cableが提供するサービスを通して1世帯当たり月に最高で230ドルの利益を上げられると予測した。

 しかしAOLの将来的な発展の可能性も、ブロードバンドサービスを運営するにあたってのより厳しい現実を覆い隠すことは出来なかった。AOL Time Warnerの経営陣は、利幅の大きいAOLのダイアルアップ加入者をブロードバンドへ移行させれば加入者1人当たりの利益が大幅に減少することにすぐさま気づいた。というのも、ブロードバンド回線の価格は依然としてナローバンド回線より高額だからだ。

 AOLはこの現実に直面し、これまでこだわり続けたネットワークメンテナンスから課金まで全てを行う包括的なブロードバンドサービスの実施に及び腰になりつつある。そのかわり同社はケーブル/電話会社との提携を模索し、提携先の既存のサービスに加え、AOLのサービスを有料で提供する計画だ。またAOLは、他社のブロードバンドサービス加入者にAOLへのアクセスを提供する、Bring Your Own Accessというインターネット接続プランの売り込みにも力を入れようとしている。

 この二つの変更は、2年前にAOLが掲げた強気な予測からの大転換を意味している。インターネット企業は徐々にブロードバンド販売事業からの撤退を余儀なくされつつある。

 「アクセスモデルはもはや完全にAOLの手を離れている。ブロードバンドの世界では、ケーブルテレビ会社と地域電話会社の独壇場となりつつある」とKaufman BrosのMay は語った。

有料サービスの行方

 こういった危機感に加え、Semelの有料サービス販売のお手本により、AOLはYahooと同じ道を歩み始めた。2002年12月にAOLは最新の有料サービス、AOL Call Alertのデモを行った。このサービスはユーザーがネット接続中でも電話を受けられるというもので、料金は月額3ドル95セント。また同社は来月にもデジタル音楽サービス、MusicNetの販売を開始する予定という。

 Yahooが有料サービスの販売を開始した際、アナリストや業界オブザーバーはなりふり構わぬ収益多様化策だとして嘲笑した。無料で何でも手に入ることに慣れているユーザーから代金を徴収するこの案をみな一蹴したのである。

 しかし何度も言うように、Semelの賭けはこれまでのところ正しかったと言える。Yahooは第4四半期に、有料/掲載事業を通し220万人の加入者から総額8940万ドルを引き出した。この数字には有料サービスからの非公開の収益も含まれている。

 この賭けが今後数年間に吉と出るか凶と出るかは、全てオンライン広告収入が回復するか否かにかかっている。その時まで、歴史は自らを書き換えていく。

 「組織作りに注力し、効率化を図り、興味深い長期的成長見通しを追求しているSemelのお手柄だ」とSoundView Technology Groupの株式アナリスト、Jordan Rohanは語った。

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