「ムーアの法則は10年後、15年後に行き詰る」--ムーア氏が指摘 - (page 2)

文:Michael Kanellos(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2007年09月19日 14時19分

 Moore氏はまた、シリコンバレーの黎明期についても語った。トランジスタの発明者で、圧政的な人物としても知られたWilliam Shockley氏は、自分の新しい会社で採用するための化学者を探している時にMoore氏に出会った。Moore氏は別の会社に応募していたが、その会社が書類をShockley氏に開示した。

 Moore氏が属していたエンジニアのグループは、Shockley氏の下を離れ、Fairchild Semiconductorの設立に寄与した。そのグループは、Traitorous Eight(裏切りの8人)と呼ばれた。「名付け親は恐らくShockley氏の奥さんだろう」(Moore氏)

 Intelはまた、キュービクル(パーティションで小さく区切った仕事スペース)を使用する草分け的企業となった。Intelは当初、数人で共同使用する作業部屋を複数用意しようと考えたが、それでは建物がまるで「刑務所の区画」のように見えたという。次に、同社はこの作業部屋とキュービクルを組み合わせようと考えたが、それも不恰好に思えた。そこで、同社はすべてキュービクルに統一することにした。Moore氏はすでに引退しているが、同氏はIntelに社内最大のキュービクルを所有している。そのキュービクルには、大きな円卓が置かれている。

 Intelは設立当初、いろいろな意味で幸運に恵まれた。同社は1968年の設立時、半導体メモリの製造に取り組もうと決断した。当時、メモリの製造方法は3種類存在した。1つは、バイポーラ回路技術と呼ばれるもので、Texas Instrumentsなどが採用していた。2つ目は、マルチチップアセンブリと呼ばれるものだが、これは実用上問題があった。そして最後は、シリコンゲートと呼ばれる技術だ。Intelはこのシリコンゲートを採用した。

 シリコンゲートの選択は幸運だった、とMoore氏は認める。仮にIntelがより容易な技術を選択していたら、同社は既存の競合企業に圧倒されていただろう。また、仮により困難な技術を選択していたら、Intelの資金は底を突いていただろう。

 「われわれは7年間市場を独占した。これは足場を固める上で非常に役立った」(Moore氏)

 またMoore氏は、将来、自然言語処理や生物学の分野で大きな出来事が起きることを期待している。生物学の分野では、ムーアの法則のような滑らかな成長曲線は期待できないが、驚くほどの速さで技術革新が進んでいる、とMoore氏は指摘する。

 またMoore氏によると、Intelの社名は当初、他にもいくつか候補があり、共同設立者であるRobert Noyce氏が提案したMoore-Noyce Electronicsもその中の1つだったという。Moore氏とNoyce氏はさまざまな社名を考案したが、結局Intelという社名が採用された。しかし、この社名について知的財産権問題が浮上した。当時、米国中西部にあるホテルチェーンがその名前を所有していたのだ。そこで、Moore氏らはその社名を買い取らなければならなかった。

 またMoore氏にはさらに頭の下がるエピソードがある。同氏はこれまで、世界中の森林や他の自然地域の保全のために膨大な金額の寄付をしてきたのだという。同氏は、人類が自然環境に大きな被害をもたらしていることは間違いないと指摘する。

 「われわれは、自然のある地球に暮らす最後の世代だ」(Moore氏)

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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