インタビュー:永井美智子(編集部)
文:吉澤亨史
2006/10/16 16:17
CRM製品「Salesforce」をSoftware as a Service(SaaS)で提供するSalesforce.comは、1999年の設立からすでに2万4800社、50万1000ユーザーを抱えるまでの成長を遂げている。また、最近では主催イベント「Dreamforce '06」にて、開発言語「Apex」や、CRMの最新バージョン「Winter '07」なども発表して話題を呼んだ。
そこで、9月26日に開催された「CNET Japan Innovation Conference 2006 Autumn〜Web 2.0時代に成長するテクノロジー企業の戦略」に合わせて来日したSalesforce.com Chief Strategy Officer(CSO)のTien Tzuo(ティエン・ツォ)氏に、同社を取り巻く環境や日本市場などについて話を聞いた。
Web 2.0には、テクノロジーの部分とビジネスの動きという部分の2つの観点があると思います。私たちはテクノロジーの部分で話すことが多いのですが、Web 2.0はビジネスのトレンドとして捉えることが重要です。そしてその傾向は、ビジネス用途でもコンシュマー用途でも、アプリケーションを提供する新しい方法として注目されていることです。私たちがやろうとしていることも、テクノロジーの定義ではなくビジネスの動きの部分になります。
Salesforce.com Chief Strategy OfficerのTien Tzuo氏それがSaaS、つまりオンデマンド・アプリケーションであり、Web 2.0時代のビジネスであるとして、定義をしっかり伝えていきたいと考えています。
私は講演で、Web 2.0時代のビジネスウェブに大事なこととして、複数のサービスがあること、信頼できるインフラがあること、カスタマイズできてシームレスなアップグレードができること、統合されたサービスであること、購入前に試用ができること、ユーザーの判断で料金を支払えること、平等であることの7つを挙げました。でも、正確にはマルチテナントのアーキテクチャが構築されていること、プラットフォームがオープンであり、コミュニティに落とし込んでいけること、これらの情報を共有できることの3つを加えた10のポイントがあります。
これらのポイントは、まさにGoogleやeBayが提供していることなんです。SAPやOracle、Microsoftなどは、このようなやり方ができていません。もちろん、ユーザーに対するアプローチが違うということもありますが、既存のもので手一杯になっています。特にエンタープライズ業界においては、私たちは彼らにできないことができるわけです。
たとえば、Googleではアリゾナにデータセンターを構築中で、これに対して5000万ドルを投資していると公表しています。Googleがセキュリティや信頼性のためにどのくらい投資しているのかがわかりますね。このような透過性、透明性は、SAPやOracle、Microsoftなどにはできないことです。透過性や透明性のある企業がサービスを牽引していくビジネストレンドがWeb 2.0といえるでしょう。
将来のことは予測不可能ですが、あらゆるソフトウェアはいずれすべてがオンデマンドになるでしょう。もちろん現状では障害もあるし、抵抗もあります。「本当にできるの?」という方もいらっしゃるでしょう。でも私たちは実現できるようがんばっていきます。これは私たちが一方的に進めていることではなく、確実なニーズがユーザーにあるのです。現在でもCRMをオンデマンドで提供していますが、ほかのものもオンデマンドで提供して欲しいと、よく言われます。
Salesforce.comが1社だけでできることはそれほど多くありません。当社がエコシステムの構築を目指しているのもそのためですが、同業他社と協力してソフトウェアの数を集めていけば、全てをオンデマンドで提供することは可能だと思っています。それによって、ユーザーが成功を収められるようになり、ベンダーも成功を収められます。私たちには、このような関係を実現するためにSaaS業界を引っぱっていく使命があると考えています。
SaaSの先駆者として私たちが学んだことは、セキュリティと信頼を得ることの重要性です。オンデマンドでソフトウェアを提供するということは、お客様の大事なデータをお預かりするということです。Googleが公的な情報をあらゆる人に提供していることに対し、私たちは銀行のようにお客様の私的な情報を預かります。そのためには、セキュリティと信頼が非常に重要になります。3カ所にデータセンターを構築したり、salesforce.comの企業情報を常に公開したりしていることも、セキュリティと信頼を重視しているためなのです。このような企業の透明性が標準になれば、この先いろいろなことが実現していくと思います。
モバイルでのWeb 2.0あるいは3.0といった定義も必要になってくるでしょう。モバイルからSaaSにアクセスすることはすでに可能です。しかし、これから1〜2年の間には完全にPCからモバイルに移行するかも知れません。Google Mapによって、どこに行くにも地図を持っていく必要がなくなりました。Web 3.0になったら、このようなことがもっと増えて、さらに便利になるでしょう。
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