最終更新時刻:2008年10月10日(金) 23時50分

BIを語るガートナー、「IT投資は左脳型から右脳型へ」

藤本京子(CNET Japan編集部)

2003/06/05 20:59  

 6月5日都内にて開催されたSAS Intelligent Enterprise 2003にて、ガートナージャパンのジャパンリサーチセンターリサーチディレクター、栗原潔氏が「企業価値向上を目指すビジネスインテリジェンス(BI)戦略」というテーマにて基調講演を行った。同講演の中で栗原氏は、IT投資全体の最新動向や投資戦略について、またそれがBIに与える影響などについて語った。

 栗原氏はまず、IT投資増加率が昨年・今年と停滞している現状を示し、「予算が限られているからといって、全体の予算をカットするのはよくない。投資のフォーカスを絞り、メリハリのある投資を行うことが重要だ」と述べた。

 投資のフォーカスを絞るとすれば、どの部分に注力すればよいのか。栗原氏は、ITの役割の変化についても語る。「これまでのITの役割は、Efficiency(効率性)をあげることが中心だったが、今後はEffectiveness(ビジネス上の効果)を考えたITに注力していくことが大切だ」と栗原氏。同氏によると、これまでのITの役割は数字の計算や事務処理が中心の「左脳型」だったが、今後はクリエイティブな部分を扱う「右脳型」の役割が重要になってくるのだという。「左脳型ITへの投資は、導入直後にコスト削減効果を享受できるが、誰もが行っていることなので競争優位性の強化にはつながらない。他と同じスタートラインに立つための投資だと考えたほうがよい」(栗原氏)

ガートナージャパン
ジャパンリサーチセンターリサーチディレクター、栗原潔氏

 では、右脳型ITへの投資はどうだろうか。栗原氏は、単発的に右脳型ITへの投資を行う場合、短期的には競争優位性を確保できるが、競合他社にすぐ追随されてしまうため、その効果は最大で2年程度だと指摘する。「右脳型ITへの投資を継続的に行ってこそ、長期的な効果が望める。他社はテクノロジーの真似はできても、プロセスとノウハウは真似できない」(栗原氏)

 IT投資を行うにあたって、栗原氏はポートフォリオを作成することが重要だと述べる。基盤系、トランザクション系、情報系、戦略系に対しそれぞれ何%の投資を行うかということだが、平均的な企業は基盤系に58%、トランザクション系に12%、情報系に16%、戦略系に14%という数字が一般的なのだという。このバランスによって、「コスト重視型」、「コスト/スピードバランス型」、「スピード重視型」の投資に分かれるわけだが、「一般的に日本企業はコスト重視型の投資が多い」と栗原氏は指摘する。コスト重視型は情報系・戦略系への投資が少ないのが特徴だが、その部分への投資を増やし、「コスト/スピードバランス型を目指すべきだろう」と栗原氏はいう。

成長を続けるBIへの投資

 ここで登場するのがBIだ。BIは、知識の構築プロセスだと言っていい。数あるデータ資産をためこむだけでなく、そのデータとユーザーの対話プロセスを構築し、有効活用するというものだ。BIは段階的な拡張が容易で、既存インフラを再構築する必要もないため、それほどコストはかからない。また、定量的分析を行うことではじめて明らかになる無駄を省くこともでき、問題解決型の展開で短期的に投資回収が可能なのもBIの特徴だ。

 栗原氏によると、BI市場は全世界で毎年約10%の成長を続けているとのことで、特にヨーロッパでの伸びが堅調なのだという。「ソフトウェア市場で2桁の伸びを示しているのは他にはない」と栗原氏。日本独自の調査データはないとしながらも同氏は、「顧客の話を聞いている限り、確実にBIへの支出傾向は高まっている」という。

 また栗原氏は、BIの戦略的展開ともいえるCPM(Corporate Performance Management)も増加傾向にあると語る。CPMとは、全体的なビジネスパフォーマンスを監視・管理するための方法論や評価基準、プロセス、システムなどだが、「2004年までに企業の40%がCPMを実装することになるだろう」と述べた。

BIプロバイダの選択基準とは?

 BIソリューションプロバイダは数多いが、導入を決めた場合、その中からいかにしてプロバイダを選べばいいのか。栗原氏は、特定のベンダー名はここでは控えると断ったうえで、選択のヒントをいくつか与えてくれた。

 まずは実績だ。新しい製品はなかなか安定しないこともあり、長期的に安定したテクノロジーを提供していることが条件だという。次に、分析ツールのみならず、バックエンドのサポートツールや全体的な方法論を提供しているかどうかも判断基準となる。また、オペレーション部分のBIだけでなく、戦略的なBIにフォーカスしているかどうか。そして業種別のノウハウや、国内でのサポート体制も重要だ。

 「BIソリューションプロバイダの選択は、企業の競争優位獲得に大きな影響を与える。よく考えて適切な選択を行ってほしい」(栗原氏)

企業情報センター

特集

「ソーシャルメディアキャンペーン」の半数は失敗--アナリストが指摘する理由
多くの企業がソーシャルメディアキャンペーンを計画している。しかし、ガートナーによると、キャンペーンを始める理由が明確になっていなければ、失敗に終わることになるという。
人工知能による会話マーケティングの可能性
日産NOTEのウェブサイトがおもしろい。人工知能を用いて、ユーザーの質問にCMでおなじみのキャラが反応してくれる。裏側で実現しているのは、PtoPAが開発したソフトウェア「CAIWA」だ。同社はこれをウェブマーケティング分野でも活用しようとしている。

オピニオン

■インタビュー

Windows VistaにとってXPはライバルか?--マイクロソフト グローバルマーケティング担当Brad Brooks氏Windows VistaにとってXPはライバルか?--マイクロソフト グローバルマーケティング担当Brad Brooks氏
コンシューマー市場向けの取り組みを強化すると発表したマイクロソフト。日本におけるWindows VistaやWindows Media Centerの現状をどう見ているのか、コーポレートバイスプレジデントのブラッドブルックス氏に話を聞いた。
「iPodを日本で一番売りたい」--ビックカメラ有楽町店に聞く新iPodの魅力「iPodを日本で一番売りたい」--ビックカメラ有楽町店に聞く新iPodの魅力
発表後初の週末となった9月13日に、新iPodファミリーの店頭イベントを開催したビックカメラ有楽町店本館で、店長の石川勝芳氏に、iPodの販売状況と店内での取り組みについて伺った。

■コラム

進化するユーザビリティテスト〜「ユーザー行動観察調査」の効果・効能進化するユーザビリティテスト〜「ユーザー行動観察調査」の効果・効能
近年のウェブサイトリニューアルプロジェクトでは「ユーザビリティテスト」を実施することが当たり前になってきたようです。今回は、単なる「使いやすさ調査」を超えた「ユーザー行動観察調査」の効果・効能を紹介します。
“オトコの遊びゴコロ”をくすぐるロマンたっぷり「自動車ケータイ」“オトコの遊びゴコロ”をくすぐるロマンたっぷり「自動車ケータイ」
香港や中国のケータイショップでは、「おぉっ!こりゃかなりいける!」とワクワクしてしまう怪しいトンデモケータイに出会うことがある。そんな魅力あふれる製品の1つが、今回ご紹介するケータイである。
ソフトバンク株価の下落加速--iPhone一巡し資金繰りを懸念ソフトバンク株価の下落加速--iPhone一巡し資金繰りを懸念
日経平均が約4年10カ月ぶりに1万円の大台を割り込む中、ソフトバンクの株価が、全般相場の低迷にも増して下落が加速している。

企画特集

ネットと家電をつなぐチャレンジ「Life-X」
第一題:ライフログ・シェアリングサービス「Life-X」の第一印象は?
エンタメCGM「gooメーカー☆メーカー」エンタメCGM「gooメーカー☆メーカー」
【第2回】メーカー/占いのコンテンツを作ってみた!

ブログネットワーク

アルファブロガー

外資系エグゼクティブの日々I am Jamming!
外資系エグゼクティブの日々
クロサカタツヤの情報通信インサイトグッバイ、レバレッジ!(1)
クロサカタツヤの情報通信インサイト
末吉隆彦 ロケーションウェアの「空」と「実」9月イベントお知らせ
末吉隆彦 ロケーションウェアの「空」と「実」
ケータイ時代のスタンダードiPhonista Nightの事後報告
ケータイ時代のスタンダード
江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance新サービスをローンチしました
江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance
鈴木健の天命反転生活日記パラレルワールドとしての電脳コイル
鈴木健の天命反転生活日記

読者ブロガー

電子政府パブリックコメントの抜粋2010 年代の電波政策(意見募集)
電子政府パブリックコメントの抜粋
ナチュラルケアーズがITを使ったらナチュラルケアーズを美容系ポータルサイトに登録
ナチュラルケアーズがITを使ったら
高校生サーバー管理者の考察日誌「ブラッディ・マンデイ」を考察する
高校生サーバー管理者の考察日誌
将来のPC業界パワーバランスAMD、資金調達のために製造部門をスピンオフ
将来のPC業界パワーバランス
フリーエンジニアでのあれこれsolrのDistributed Search
フリーエンジニアでのあれこれ
今どきのメッセージ論日経平均株価の落ち着く先は…
今どきのメッセージ論

リサーチ

■リサーチコラム

薬事法規制の厳しい健康食品に代わり、増え続ける化粧品メーカー
薬事法規制が厳しくなる今、特に規制が厳しい健康食品にかわって化粧品を販売しようとする企業が増えている。そこで、覚えておきたい化粧品と薬事法の関係について簡単にまとめた。
携帯電話の待ち受けに関する調査--最も利用される画面は「自分で撮影した写真」
携帯電話の待ち受け画面に関する調査を実施したところ、10・20代は飽きやすく待ち受け画面を頻繁に変更する傾向にあり、30・40代は季節感や臨場感を重視することが明らかとなった。
電子マネーによるライフスタイルの変化に関する調査--電子マネーコアユーザーは、高所得者層
電子マネーによるライフスタイルの変化に関する調査したところ、電子マネーを活用するのは高所得者層に多く見られた。また、1度に1万円以上チャージするユーザーは10%強であることも明らかになった。

■調査レポートダウンロード

金融不安の市場に、IR活動は何を頼るか!?
CMS未導入企業300社へのアンケート 担当者のホンネを徹底追求

■調査発表

【ゲームクリエイターの方へ】攻めの開発体制を敷くAQインタラクティブ社の中途採用・求人情報をレポート
Alibaba JAPAN、カー用品店に関する調査 カー用品専門店の認知、利用ともトップは「オートバックス」
調査結果「携帯OS『Android』認知度調査、6割が『知らない』 〜ユーザー期待のメーカーは?」

イベント情報

Microsoft Windows SharePoint Services 3.0によるチームサイトの構築
主催:グローバルナレッジネットワーク株式会社
Microsoft .NET入門
主催:グローバルナレッジネットワーク株式会社
Microsoft SQL Server 2005 インフラストラクチャの設計(#4612)
主催:グローバルナレッジネットワーク株式会社

CNET Japan セレクション

ココが変わった、新型「ニンテンドーDSi」--「ニンテンドーDS Lite」と比較
任天堂が11月1日に発売する新型ゲーム機「ニンテンドーDSi」はどんな点が新しいのか。既存のニンテンドーDS Liteと比較するとともに、新機能を紹介する。
フォトレポート:本体が分離するNTTドコモの「セパレートケータイ」の謎に迫る
NTTドコモは家電展示会「CEATEC JAPAN 2008」において、端末が2つに分離できる携帯電話「セパレートケータイ」を展示している。どのような仕組みなのか、何ができるのかを、写真で紹介する。
話題のスマートフォン、写真で見るBlackBerry Bold
RIM製スマートフォン「BlackBerry」の新モデル「BlackBerry Bold」を2008年度第4四半期にも発売すると発表したNTTドコモ。話題のBlackBerry Boldを写真で紹介する。
こんなものもありました--CEATECで見つけたオモシロ新技術たち
幕張メッセで開催されている展示会「CEATEC JAPAN 2008」では、幅広い分野の最新技術が一堂に会している。ここではその中でもユニークな新技術や展示を紹介する。
「iPhone 2.2」アップデートの概要が明らかに--App Storeのインターフェースなど変更
アップルは、新たな「iPhone 2.2」アップデートのリリースに向けて準備を進めている。Safariに加え、App Storeのインターフェース変更などが予定されている。
ケータイはまだまだ進化する--CEATECで見た未来の技術
幕張メッセで開催されているデジタル家電の展示会「CEATEC JAPAN 2008」では、携帯電話関連の新技術が数多く展示されている。その様子を写真で紹介する。

今日の見どころ

自動車の未来を垣間見る--2008年パリモーターショーのコンセプトカー

2008年度グッドデザイン賞が発表--環境を意識した新基準も

GMのハイブリッドカー「Chevrolet Volt」、パリモーターショーに登場

レビュー

今週の新製品総チェック:新PS3が登場!ニコンが発表した映像製品「UP」とは?
「東京ゲームショウ2008」が10月9日から開催され、新PS3やXboxの新作ゲームなど、ゲーム機の大型発表が相次
[レビュー]2011年画質を備えた高画質、多機能Blu-ray--ソニー「BDZ-X95」
ソニーのBlu-ray Discレコーダー新製品が登場した。2007年から引き継がれる「やりたいことから選ぶ」シリー
今週の新製品総チェック:よりモバイルPCとして進化した「Let's note」が登場
松下電器産業の「Let's note」、デルのデスクトップPCとPC新製品が数多く登場した。Let's noteは9時間駆動
今週の新製品総チェック:フルサイズCMOS搭載のキヤノン「EOS 5D Mark II」が登場
キヤノンからもフルサイズCMOSセンサを搭載した「EOS 5D Mark II」が登場した。合わせてコンパクトデジカメ
今週の新製品総チェック:第4世代iPod nano登場、ソニー「α」、松下「LUMIX」に新機種も

CNET_ID

メンバー限定サービスをご利用いただく場合、このページの上部からログイン、またはCNET_ID登録(無料)をしてください。