集積回路の父、ジャック・キルビーが死去

Michael Kanellos (CNET News.com)2005年06月22日 18時29分

 1950年代に集積回路を発明し、デジタル時代への扉を開いたJack Kilbyが、米国時間20日にガンとの闘病の末に亡くなった。81歳だった。

 Kilbyは、Texas Instruments(TI)に勤務していた1958年夏に、世界で初めて集積回路を開発した。このマイクロチップは、1958年9月12日にデモストレーションが行われた。

 このプロトタイプは、コストダウンを実現し、技術上の課題を取り除くことに成功した。そしてこれが、さまざまな機器に集積回路が搭載されるきっかけを作った。集積回路が登場する以前は、エンジニアが複数のパーツ同士をはんだ付けする必要があった。なお、Intel共同創業者のBob Noyceは、同様の集積回路をKilbyより数カ月遅れで開発した。

 Kilbyは、TIの従業員が通常なら休暇にあてる2週間の間に行ったこの発明で、のちにノーベル物理学賞を受賞することになる。2000年のMicroprocessor Forumで同氏のノーベル賞受賞のニュースが発表された際には、会場に居合わせた人々が立ち上がり、この知らせを喝采を送った。

 この発明は、Kilbyのキャリアにも大きな影響を与えた。その後数年にわたって、同氏はTIでいくつかの要職を歴任し、数々の賞を受け取っている。1970年には正式に同社を退職しているが、顧問として同社に籍を残していた。同氏はまた、1978年から1984年にかけて、Texas A&M Universityの教授も勤めた。

 「私の意見では、世界やわれわれの生き方を本当の意味で変革させる仕事を成し遂げる人間は一握りしか存在しない。それがHenry Ford、Thomas Edison、Wright Brothers(ライト兄弟)、Jack Kilbyの5人である」と、TI会長のTom Engibousは挨拶の中で述べていた。「いままでにわれわれの業界だけでなく、世界をも変革させた非常に大きな影響力を持った発明があったとするなら、それはJackの発明した世界初の集積回路だろう」(Engibous)

 Kilbyはカンザス州で育ち、その後イリノイ州立大学に進学した。第二次世界大戦当時は陸軍へ入隊したが、1947年には卒業のためにイリノイ大学へ復帰。卒業後はウィスコンシン州ミルウォーキーのCentralabに勤めた。ここで同氏はトランジスタ開発に初めて従事し、集積回路開発への基礎を養った。また同氏は、この間にウィスコンシン州立大学で修士の学位を取得した。

 1958年にTIで働き始めた同氏は、入社の時期が遅すぎて夏休みの時期に間に合わなかった。

 「それでしかたなくデスクに座っていた。おそらくいつもより少し長居しただろうか」とTIのウェブサイトに掲載された1980年のインタビューには書かれている。「その日のうちに大半の点がかなりはっきりと形になった。私はいくつかの絵をノートに描き、それを休暇明けに出社してきた上司に見せた。わずかに疑いはしたが、それでも彼らはそれが持つ重要性を理解した」

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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