米ブッシュ大統領、ナノテク法案を承認--4年間で37億ドルの研究費投入

 米ブッシュ大統領が、ナノテクノロジーの研究開発に、向こう4年間で37億ドルの助成金を出すという法案を承認した。

 「21st Century Nanotech Research and Development Act(21世紀ナノテク研究開発法案)」は、ナノテク研究への資金提供を求め、またナノテクの商用利用を促進しようとするもの。ナノテクノロジーとは、1メートルの10億分の1以下の大きさを持つ物質から製品を作ることを研究する科学である。

 この法案による助成金拠出が始まるのは、米国政府の会計年度が切り替わる来年10月だ。ブッシュ大統領はまた、2004会計年度にもナノテク研究に8億4900万ドルを拠出するよう求めている。ホワイトハウスによると、ナノテク助成金は2001年から83%増えているという。

 ナノテク分野には、過大な期待と懐疑の声が渦巻いているが、この分野を専門とする研究者や科学者は、ナノテクノロジーが電気、医療、エネルギーを含む多くの分野に大きな影響を与えるだろうと語る。

 「カーボンナノチューブをケーブルに織り込むことで、現在の送電線よりかなり性能の良い送電線を提供することができるようになるだろう」と、ホワイトハウスは述べた。

 物質はここまで小さくなると、化学的また物理的に違う性質を見せるようになる。普通は電気を通すシリコンも、絶縁体の役目を果たせる。またカーボンは、通常の状態の鉄よりも強くなる。これらの性質を分類するための新しい種類の周期表を、科学者が作成しなければならないことを理論付けた者もいる。

 一部のナノテク商品は、汚れにくい衣服などとして既に市場に出ているが、さらに精密なアイデアも実現に向けて開発が進んでいる。米General Electricは、特別に作られた分子で、初期段階の癌に侵された細胞を発見し、目立たせることができるものを考案中だ。

 日本、中国、そして多くのヨーロッパ諸国も、この分野への投資を行っている。昨年には、ベルギー王室のメンバーが、サンフランシスコのナノテク会議の際、パーティーを開いている。

 今年はじめに出されたた米Lux Capitalの報告によると、米国政府は、2000年から2002年の間に、ナノテク研究におよそ20億ドルを投じたという。EUはというと、2002年から2006年の間に、ナノテク研究プロジェクトに10億ドル以上を投入する計画だという。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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