マクロメディア、MXファミリーでリッチインターネットアプリケーションの普及を目指す

藤本京子(CNET Japan編集部)2003年10月30日 20時20分

 マクロメディアは30日、ウェブサイト作成やウェブアプリケーションの開発用ツール、Macromedia MXファミリーの次世代バージョン、「Macromedia MX 2004ファミリー」日本語版を発表した。記者会見場で挨拶に立った同社代表取締役の井上基氏は、「インターネットの普及が進む一方で、まだインターネットは万人が使いこなせるものになっていない。このような背景から、各社はフロントエンドを見直すようになってきた。インターネットが社会のインフラとなるためには、誰もが何のストレスもなく使えるものでなくてはならない」と語り、MX 2004ファミリーがウェブのクリエイターのみならず開発者にとっても理想的なリッチコンテンツを提供するための重要なツールになると述べた。

 米Macromediaの製品担当プレジデント、ノーム・メロウィッツ氏は、インターネットの歴史をコーヒーの歴史に置き換えて説明する。コーヒーは昔、豆が一般の商品として売られていただけだったという。その1杯2セント程度の原価であった豆のコーヒーを、すでに飲める状態にして缶に入れることで付加価値をつけ、新たなコーヒー市場が立ち上がった。それが今度はさらに進み、コーヒーはカップに入れられ喫茶店で売られるようになる。そしてそれがさらに進化し、スターバックスなどがデザインや雰囲気をコーヒーと一緒に売るようになった。「スターバックスはユーザー体験を売っているのだ」とメロウィッツ氏。「インターネットも最初は簡単でシンプルなHTMLからはじまった。それにボタンやメニューが追加され、今度はアプリケーションやトランザクションが加わった。MX 2004は、さらに進んだリッチアプリケーションの作成が可能となるものだ。これによりユーザーは、セブン-イレブンではなくシャネルやルイ・ヴィトンで買い物をしているような体験を得ることができる」(メロウィッツ氏)

米Macromediaの製品担当プレジデント、ノーム・メロウィッツ氏

 今回同社が発表した製品は、インターネットのリッチコンテンツおよびリッチアプリケーションの作成ツールMacromedia Flash MX 2004、同製品のプロフェッショナルバージョンMacromedia Flash MX Professional 2004、ウェブサイトやウェブアプリケーションの作成ツールMacromedia Dreamweaver MX 2004、ウェブグラフィック専用のデザインツールMacromedia Fireworks MX 2004、およびこれら製品をひとつにまとめたMacromedia Studio MX 2004だ。MX 2004製品のリリーススケジュールは、トライアル版のダウンロード開始が11月5日から、オンラインストアでのダウンロード販売開始が11月18日から、店頭販売開始は12月5日からとなっている。

 Macromedia Flash MX 2004では、ダイナミックテキスト内でCSS(カスケーディングスタイルシート)とインラインJPEG画像がサポートされた。これにより、サイト内のHTML部分とFlashのテキストスタイルを統一したり、Flashコンテンツを簡易ブラウザとして使うことも可能になるという。また、ナビゲーション処理やビデオ再生コントロールなどのインタラクションも、スクリプトなしで簡単に追加できるという。同プロフェッショナルバージョンでは、SOAP(Simple Object Access Protocol)WebサービスやXMLをサポートしたデータバインディングコンポーネントが同梱されており、サーバとの連携がより強力となる。

 Macromedia Dreamweaver MX 2004は、CSSによるサイトデザインをサポートし、スタイルとコンテンツを別々に開発および管理することが可能となる。またFireworks技術を取り入れたグラフィック編集機能で、Dreamweaver環境を離れることなく画像の編集ができるという。Macromedia Fireworks MX 2004は、処理速度が向上したことに加え、新しいデザインツールの搭載や他のMacromedia MXファミリー製品との連携が強化されている。

マクロメディア代表取締役の井上基氏

 発表会場では約1時間半にわたって製品デモが行われ、すでにMacromedia Flash MX Professional 2004を採用して作られた集英社のサイト、「制コレ03」なども紹介された。

 ブロードバンドの普及などにより、インターネットでもフロントエンドがブラウザからより表現力のあるリッチインターネットアプリケーションへとシフトしつつある。この流れを受け、マクロメディアは昨日、アイ・ティ・フロンティア、ビジネス・アーキテクツと共に、リッチインターネットアプリケーションの普及と発展を目的に「RIAコンソーシアム」を設立したばかりだ。同コンソーシアムでは、開発ガイドラインや技術革新のロードマップを提示し、ビジネスユーザーや開発者がどのようにリッチインターネットアプリケーションを導入および活用できるのかなどを検証することで、リッチインターネットアプリケーションの啓蒙および発展を推進していくという。

 「マクロメディアのマニフェストはただひとつ。それは、インターネットを使いやすくするということだ」と井上氏。コンソーシアムの設立と共に今回発表された製品は、リッチインターネットアプリケーションの普及に貢献することになるかもしれない。

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