「Windows Azure」の前途は洋々か?--MSの新クラウドサービスへの評価

文:Elinor Mills(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2008年10月28日 16時52分

 ロサンゼルス発--Microsoftは米国時間10月27日、「Windows Azure」を発表した。アナリストやWindowsファンらは、Microsoftがクラウド分野への大きな賭けに出たことに感銘を受けており、反応は概ね良好だ。

 「Azureは大変野心的。極めて野心的だと考える」と語るのは、調査会社GartnerのアナリストDavid Smith氏だ。同氏は、Microsoftは企業から消費者まで、広範なオーディエンスと、広範な端末をターゲットにしようとしている、と指摘する。

 Smith氏によると、同氏の言う大変野心的とは、Azureがゴールデンタイム進出への準備が整うまでしばらく時間がかかることも意味するという。それでも、同氏はMicrosoftの全体的なアプローチを高く評価している。「(Azureは)大変先見性のある、実際的なアイデアだと思う」(同氏)

 MicrosoftはWindows Azureの発表時、コミュニティー技術プレビュー(CTP)をリリースすると述べた。開発者らは当初、作成したアプリケーションをMicrosoftのサーバ上に無料でホストできる。しかし、Microsoftは、各機能が確定し、ビジネスアプリケーションの準備がすべて整ったことを確認し次第、課金を開始する。

 Microsoftによると、共通の開発ツールを使って、従来のWindows用アプリとWindows Azure用アプリの両方の開発が可能だという。

 Windows-now.comのチーフブロガーRobert McLaws氏は、現在の景気低迷がコスト削減を目指す企業において導入を促す可能性があると指摘する。

 McLaws氏は、「自社のデータセンターや従業員に資金を回す必要があるだろうか?Microsoftに肩代わりしてもらえるという時に」と述べ、さらに「Azureは、効率的なアプリケーション開発やアイデアをテストしようとしている新興企業に興味深い機会を与えるものだ」と付け加えた。

 一方、MicrosoftにとってWindows Azureは一か八かの賭けに他ならない、と語るのは、AMR Researchのディスラプティブ技術担当バイスプレジデントJonathan Yarmis氏だ。

 「何としても成功させなければならないということだろう。GoogleやAmazonなどの他企業にプラットフォームのペースや特徴を決定させておくのは、Microsoftにとって長期的に見て、また短期的に見ても大きなマイナスだ」とYarmis氏は指摘する。Microsoftは「これを成功させなければ、企業として興味深い存在ではなくなる」と考える必要がある。

 Microsoftは、すでに定着しているAmazonのホストサービスや、人気のあるiPhone向け開発プラットフォーム、さらにGoogleアプリに立ち向かうことになる。

 Yarmis氏は「新興企業の経営者らはAmazonのサービスを気に入っている。何百万ドルも出してインフラを購入する必要がないからだ。ボタンをクリックしていくつかのサーバを設定すれば、すべて解決だ」と述べ、さらに「Amazonは開発者らに、膨大な数に及ぶ可能性のあるアプリケーションを迅速かつ容易に配置できる方法を提供した」と語った。

 またYarmis氏は、Microsoftは開発者のサポートを引き付け、維持するために各種サービスのリリース予定をわざと曖昧にしていると指摘する。

 仮にMicrosoftが同社の支配下にないプラットフォームに開発者コミュニティーを奪われれば、同社は長期にわたって蚊帳の外に置かれることになるため、何としても開発者を獲得しなければならない、とYarmis氏は語る。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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