では、企業がプロセスを構築するにはどうすればいいのだろうか。ピーターソン氏の回答は、「まずはダイアグラム作りを理解し、実行すること」だ。
ダイアグラムがあれば、ビジネスの過程のどこで成功し、どこに改善のチャンスがあるかが把握でき、解析を厳格に行える。それによってマーケティングキャンペーンを打つ際に必要な情報を得ることができるという。
またダイアグラムを作成するもう1つのメリットとして、上層部に見せることで、いかにウェブ解析を理解するのに務めているかを示すことができる点も挙げられた。
「企業の上層部の方から、時間をかけてプロセスのダイアグラムを書くのは不適切ではないかという声をよく聞きます。しかし、マーケティングキャンペーンでのウェブ解析の使い方について質問すると、実はミスが多かったという実態が浮き彫りになることが多いのです。ダイアグラムを書くことで、関係者が必要なデータを得られ、仕事ができる体制を整えられる。そして、責任者を決めることで成功に導けるのです」(Peterson氏)
企業が考えるべきことは、自社がプロセス指向型かどうかという点だとPeterson氏は参加者に呼びかけた。ウェブサイトにどのような訪問者が来ているか、データを利用してサイト変更を行っているか、ウェブサイトがユーザーにとって有用な情報を提供しているのか、そして意見に耳を傾けながら継続的な改善を図っているか--これらにすべてイエスと答えられる人はどれくらいいるだろうか。Peterson氏が参加者に挙手を求めたところ、ほとんど手は挙がっていなかった。
「みなさんに覚えておいていただきたいことは、成功するためにはビジネス、人、プロセスの3つが重要であるということです。これが投資に対するリターンを最適化する鍵です。ここから最適な利用が理解、行動、成功が導き出されるのです」(Peterson氏)
講演の最後には、参加者からの質問が受け付けられた。「現在の技術で、測りやすい、測れない情報の境界線は?」という質問に対してピーターソン氏は、無限の測定の可能性があると答えながらも、顧客データなど現実的には難しいものもあると指摘した。解決策としては、各社でどのデータを結合するか判断する必要があり、適切な設問を考えるのがポイントだという。
また、「バズマーケティングなど費用対効果の測りにくいマーケティングが目立つが、ブログ、SNSなどのソーシャルメディアへの対策については?」というウェブ解析の今後の展望に関する質問も挙がった。Peterson氏はこの質問に対し、「答えにくい質問ではあるが、この問題への答えを導き出した企業が収益をあげることになるだろう。バズマーケティングが拡大してくる中、世界がどういう動きをしているかを理解し、考えていくことが大切です」と回答した。
バズマーケティングは今まさにウェブ解析の専門家たちが対応しようとしている分野だ。Peterson氏によれば、訪問者のエンゲージメントをいかに測定するかが今後の課題になるという。
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