これは最高でも2.3GHzという現行の「POWER5」と比べるとおよそ2倍のクロックスピードだ。この高速化に対応するため、IBMはPOWER6のチップ通信性能を向上させている。McCredie氏によると、POWER5では、チップと外部との通信速度は150Gバイト/秒だが、POWER6ではこれが300Gバイト/秒にまでアップするという。
また、IBMはメインフレーム製品の持つハイエンドの信頼性向上機能をPOWER6にも移植したと、McCredie氏は説明する。これらの機能は、ソフトウェアが処理を中断せざるをえない状態に陥る前に、できるだけ多くのエラーを発見、解消するために導入された。
POWER6では、保存している全データの状態が処理サイクルごとに記録される。そのため、エラーが見つかれば以前の状態に戻って問題の処理を再試行できるとMcCredie氏は言う。見つかったエラーが重大なものだった場合は、その処理状態を、丸ごと新しいプロセッサコアに移すことが可能だ。この機能は「CPUホットスペア」と呼ばれている。
さらに、あらゆるデータ経路はチェックされ、チップ内を移動する際のデータ破損を防止している。
POWER6の各チップは2個のプロセッシングコアを搭載している。また、各コアは高速のL2(レベル2)キャッシュメモリをそれぞれ4Mバイトずつ搭載している。これに対して、POWER5では2Mバイトのキャッシュを全コアで共有していた。さらに、McCredie氏によれば、オプションとして、チップ外に32MバイトのL3(レベル3)キャッシュを搭載し、2つのコアに共有させることも可能だという。
各コアは、「スレッド」と呼ばれる命令シーケンスを2つ同時に処理できる。データベースのトランザクション処理において、2つ目のスレッド処理能力は1つ目のおよそ55%だとMcCredie氏は言う。これは、POWER5における2つ目のスレッド処理能力のおよそ2倍だ。
また、仮想化機能を向上させるため、POWER6では最大で1024のパーティション作成が可能になり、それぞれのパーティションにオペレーティングシステムが導入できる。ただし、McCredie氏はユーザーもそこまでの細分化は求めていないだろうとの考えで、「この機能をそのままユーザーに提供することはないと思う。せいぜい200前後にするつもりだ」と語った。
POWER6では、4つのソケットが第1層のファブリックで1つのソケット群にまとめられており、ソケット群内の4つのチップはそれぞれ他のチップすべてと直接接続される。さらにこのソケット群が、第2層の高速ファブリックを介して、それぞれ他の7つのソケット群と接続されている。この2階層のファブリックによって、すべてのプロセッサにおけるキャッシュメモリが同期される仕組みだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手