Blue Gene/Lで脳の設計図作り--「Blue Brain」プロジェクトが一部成果を発表

 カリフォルニア州サンノゼ--人間の脳内で活動する1万個分のニューロンの動きを三次元シミュレーションすると1テラバイト分のデータが生成される。だが、これは何百億という脳神経細胞のアルゴリズムをマッピングした際のデータ量のほんの一部に過ぎない。

 これが、Blue Brainプロジェクトを進める科学者Henry Markram氏の見解だ。Blue Brainは、IBMやスイスのローザンヌ連邦工科大学(EPFL)などによる共同プロジェクトで、認知学進展のため、人間の脳の設計図作りに取り組んでいる。

 EPFLは2005年、2年間の計画で進められているスイスの同プロジェクトのために、高額なBlue Gene/LスーパーコンピュータをIBMから購入した。だが、大脳新皮質の1つのコラムに配置されたニューロン1万個の活動をシミュレーションするのに同グループが成功したのはつい最近のことだ。大脳新皮質は人間の脳内で最大の面積を占め、高度な思考や行動をつかさどっている(通常、コラムは10万個のニューロンから成る)。

 Markram氏は米国時間5月10日に当地で開催中のCognitive Computingカンファレンスで講演し、「これが最初の第一歩だ」と語った。同カンファレンスはIBMのAlmaden Institute主催による2日間のイベント。

 Markram氏によると、同グループはこのプロジェクトで生成される膨大な量のデータを視覚化ツールを使って処理し、興味深い計算結果が出ると詳しく調査するという。Blue Brainでは、3Dシミュレーションを表示する小規模なメディアセンターを作成する目的で、Silicon Graphicsのスーパーコンピュータも購入している。Markram氏によると、このシミュレーションでは脳の中に座っているような感覚が味わえるという。

 「(これにより)各々のデータについて、分析用に保存すべきか否かなどを見極めることが可能になる。非常に面白い」(Markram氏)

 同グループではさらに、データ処理用としてBlue Geneを2台追加購入できるようスイス政府に働きかけている。だがMarkram氏によると、Blue GeneはいくらIBMが大幅に値引きしても高価だという。十分な資金さえあれば既存技術で脳内の何百億というニューロンを計算できる、というのが同氏の考えだ。

 Blue Brainは現在までに、認知計算処理を行う2つのソフトウェアを開発している。Markram氏の3Dシミュレーションは活動する1万個のニューロンのうちの約1割しか表示できないが、新技術があればシミュレーションは「1000倍向上する」と同氏は語る。たとえば、同ツールは1つの細胞を拡大表示し、脳神経細胞の正確な活動を調査できる。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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