Intelは、HomeRFをあまり費用のかからないホームユーザー向けの規格とみていた。いっぽうKettler氏によれば、Dellは、オフィスと自宅との間でノートPCを持ち運ぶ際に、ネットワークアダプタを取り替えなくてもすむよう、オフィス用と家庭用とで規格を統一させるべきだと考えていた。そこでDellは、802.11をすべての標準規格とし、しかも安価なHomeRFと同等レベルに価格を抑えるようIntelを説得した。Dellは、オフィス環境向けの比較的高価なアダプタをわずかに販売するよりも、少ない利幅でも802.11用のアダプタを大量に販売するほうが、Intelはより多くの利益を得ることができると主張したのだ。
このように、802.11対応のネットワーク機器のコストが大幅に下がったのは、Dellのとった行動のおかげであるとKettler氏は強調する。
Intelは、ここで述べられている具体的な各状況についてはコメントを拒否している。ただし、同社は、Dellとの間に協力関係と緊張関係の両方が存在することを大筋で認めている。
「われわれはDellにとても好感を持っている。実際、Dellは、世界最大のPC販売会社として、技術革新や標準化において非常に重要な役割を果たしており、われわれが日々注意を怠らないよう確実に戒めてくれる存在でもある」と、同社はある声明の中で語っている。
その後、プロセッサをめぐって、両社の緊張関係はさらに高まることとなる。特に、Intelが64ビットの高性能チップへの対応を迫られたときに、それはピークに達した。Intelは「Pentium」や「Xeon」などのx86チップに64ビットの処理性能を持たせる代わりに、「Itanium」ラインの開発を強力に推し進めた。しかし、Dellは、同社に対して、x86の開発にもっと力を入れるべき、すなわちライバルのチップメーカーであるAdvanced Micro Deviceと同じ方向に進むべきであると主張していた。
「今度Pat(Gelsinger氏。Intelのサーバグループ責任者で元CTO)と話す機会があったら、聞いてみるといい。(x86チップへの)64ビットメモリ拡張に対する需要がいったいどこから発生しているかを」と、Kettler氏は述べる。
Dellは2005年にItanimuを搭載した製品の販売を完全に終了したが、この決断は、実際にはそれより前になされていたとKettler氏は言う。同社が最初にその動きをとったのは2003年で、この年Dellは、8基のプロセッサを搭載したXeonサーバーの販売計画の中止に踏み切った。これだけの時差が生じた理由として、Kettler氏は、Dellにとって、Itanium搭載製品を欲しがる少数の顧客に対してどうしてもそれら製品を販売し続ける必要があったためとしている。ただし、ほとんどの顧客はItaniumに興味を示さなかったと同氏は述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」