検索語がどのくらいの頻度で犯罪捜査に利用されているかは定かではない。2005年11月、ノースカロライナ州在住の男が妻の殺害で有罪となった。この裁判では、妻が殺害される前にその男がGoogleで「neck(首)」「snap(折る)」「break(折る)」「hold(抑える)」という単語を検索していたことが理由の1つとなった。CNET News.comが検索企業を対象とした調査をしたところ、その中でGoogle、America Online、Microsoft、Yahooの4社は、これまでに警察からの検索記録の開示要求に応じたことがあるか否かの質問に対する回答を拒否している。
司法省の召喚は、本来であればごく日常的なことであり、実際AOL、Microsoft、Yahooの3社は司法省からの同様の要請に自発的に従った。しかし、Googleが抵抗したことで、プライバシーをめぐる論争が勃発し、Patrick Leahy上院議員(バーモント州選出、民主党)は司法省に対し詳細な説明を求めた。また下院でも各ウェブサイトに訪問者に関する情報の削除を義務付ける法案が発表された。
無論、ECPAがこの裁判の行方を決定付ける保障はどこにもない。司法省とGoogleが和解するかもしれないし、あるいは、判事がECPAとは無関係の理由に基づく判決を下す可能性もある。
しかし、仮にGoogleが主張するECPAの解釈を連邦裁判所が採用すれば、今後、FBIやその他の警察機関が犯罪捜査において検索語の記録を入手するのはこれまで以上に困難になる。またLexis-NexisやWestlawなどのデータベース上で行われる検索や、The New York TimesやYahooなどのニュースサイト上で行われる検索についても、プライバシーがより厳格に保護されるようになるだろう。
離婚専門の弁護士など、民事訴訟を扱う弁護士や解雇をめぐり従業員と争っている雇用主も検索語の開示を要求する際に新たな法的障害に遭遇する可能性がある。
「(検索語がECPAの保護の対象となることは)プライバシーにとって良いことであり、ECPAの正当な適用であると考える」と語るのは、サンフランシスコに拠点を置く非営利組織、電子フロンティア財団(EFF)の弁護士を務めるKevin Bankstonだ。
司法省の広報担当者は21日、(Googleに対する)召喚状が検察官らにとって裏目に出る可能性があるかという問いに対し、その問題については現在訴訟が進行中であるとしてコメントを避けた。
検索語にもECPAが適用されると犯罪捜査がより困難になることから、連邦控訴裁判所が民事訴訟で検索語へのECPAの適用を大々的に宣言するというのは、米政府にとってはまさに「悪夢のシナリオ」だ、と元司法省の検察官のOhmは指摘する。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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