AJAXを擁する新興勢力がMSに挑戦--ソフトウェア市場に新たな潮流 - (page 2)

　Venrock AssociatesのベンチャーキャピタリストDan Grossmanは先ごろ、「ブラウザベースのアプリケーションは、ようやく頭角を現したところだと考えている」と、ブログに記した。「こうしたアプリケーションは今後ますます増えていき、実現可能な事柄が明らかになるにつれ、大きな驚きを感じる人も多くなるだろう」（Grossman）

　現在、複数の小規模な企業が、多数のPC系製品の代替となるウェブベースのアプリケーションをAJAXで開発し始めており、Microsoftユーザーが将来的にこうした製品に移行していく可能性がある。プロジェクト管理アプリケーション「Basecamp」や、CalendarHubが現在ベータ版として提供しているカレンダープログラムなどがその例だ。

　大半のデスクトップアプリケーションと比較した場合、ウェブページには今のところ限界がある。その点、AJAXは、ウェブページの双方向性や機能性を改善して、使い勝手を向上させるものだとウェブ開発者らは述べている。

　AJAXを利用すれば、デスクトップアプリケーションにも比肩するユーザーインターフェースを開発できるようになる。例えば、「Microsoft Outlook」で電子メールメッセージをフォルダにドラッグできるのは当たり前のことだが、「MSN Hotmail」などのようなウェブベースの電子メールクライアントではこれが不可能だ。一方AJAXアプリケーションにおいては、ウィンドウやボタンなどのアイテムをウェブページの任意の場所に移動できる。

　インスタントメッセージング（IM）の新興企業Meebo.comを立ち上げた3名の設立者の1人Seth Sternbergは、「満足してもらえるユーザーエクスペリエンスは、AJAXなしには実現できない」と語った。

　アナリストでライターのRichard MacManusは先頃、ThinkFreeやWritelyといった小規模なソフトウェアメーカーがいずれ、Microsoft Officeのウェブホスティング版とも言える製品を生み出すだろうと述べた。

電子メールまでも飲み込む

　Dietzenは、ウェブベースのアーキテクチャが、共通のセキュリティシステムおよび簡素化された管理機能などの恩恵をIT管理者にもたらすと述べている。またDietzenは、同アーキテクチャを採用することで、Zimbraは電子メールとその他のアプリケーションを革新的な方法で統合できるようになると話した。

　「電子メールまでをも統合できるというのは、非常に大きなことだ。ウェブがコラボレーションのプラットフォームになりつつある現在、電子メールだけ除外しておく必要はないだろう」（Dietzen）

　2005年に入って、AJAX開発の利点を広く一般に知らしめるサービスが登場した。「Google Maps」である。このプログラムでは、マウスを使い地図画像を画面上で移動させることができるというものだ。