ついに明かされたシマンテックとの合併の真相--VERITAS VISION 2005 - (page 2)

別井貴志(編集部)2005年04月26日 16時19分

ウォール街へもメッセージ

 VERITASの掲げるユーティリティコンピューティングとは、複雑さやコストを可能なかぎり排除して、簡素な仕組みで誰にでも使いやすく、自動化したシステムを構築することだ。そうすることで、顧客企業はシステム構築や運用のコストを下げられるほか、CIOもITサービスの戦略を確実に実現できる。ただし、「ここで重要になってくるのが、ITのリスクとコストのバランスだ」とBloom氏は声を高めた。

 リスクには、例えばカリフォルニアや日本では地震の脅威など天災の脅威にさらされている。また、世界中どこでもコンプライアンス要件を満たさなければならない。こうした法的遵守はビジネスプロセスだけではなく、技術やデータセンター、企業の経営方針などにもかかわってくる。一方で、こうしたリスクを回避するにはコストがかかるが、ITベンダーが多数あることやM&Aに伴う混乱などで、システムが複雑化し運営・管理コストが跳ね上がるケースも少なくない。

 また、Bloom氏は「情報と通貨が融合する時代では、電子的なリスクも台頭している」と言う。「100年前は握手でビジネスの契約をし、対価となる通貨は金の現物だった。握手は心が伝わるかもしれないが詐欺が起こり、金は重くて泥棒もされた。その後、契約は契約書という紙になり、対価は紙幣となったが、紙は膨大な量となり偽造や消失のリスクを伴った。そして現在では、契約も対価もデジタル化が進んでネットワークを通じて行われるようになってきた」とし、「フィッシングやウイルス、メールハッカーなどの新しいリスクが登場し、これに対するコストも考えなくてはならなくなった」としている。そこで、「IT全体のリーダーを目指すために、通貨と融合した情報が保護されてセキュリティを確保するためには合併することが望ましいと判断した」と言うわけだ。

 つまり、合併することで、情報と通過が融合された時代に、コストを抑えてリスクや複雑さを排除したセキュアな企業システムを提供できるというわけだ。

 Bloom氏はソフトウェア業界全体の合併にも触れた。「OracleとPeople Soft、MacromediaとAdobe Systems、VERITASとSymantecと、合併が相次いでいるが、それぞれ理由はあるもののこうした動きはユーザーにとっていいことだ。サプライヤーが減って総合されるということは各製品ごとのライセンス管理などの手間、コストが軽減される。これも複雑化の排除につながる。ユーザーはいま、製品ポートフォリオをたくさん有している企業と組むことを望んでいる。ソフトウェア業界の合併はまだまだ続くと思うが、我々はライセンスの発行や管理、インストール作業の簡素化など、導入や運用などプロセス全体を簡素化していく計画だ」

 最後に、Bloom氏は合併についてウォールストリート(証券業界)がネガティブな反応をしていることについても説明した。「それぞれの分野でリーダーとなっている勝ち組企業同士の合併を経験したことがないから、困惑しているのだろう。両者の従業員もユーザーも好意的なのにウォールストリートだけが苦しんでいる。我々の合併は、単純に合わせて収益を拡大させる目的ではない。悪いところは切り捨て、よい点を組み合わせて独自にはできないことをやっていく。また、両社合わせてこれまでに30社以上と合併しているので、この経験から実際の合併作業も問題ない。ユーザーを最重視ししていくのが優先事項で、かならず成功する。そのうちウォールストリートも前向きになってくれるだろう」

開催場所はサンフランシスコのMOSCONE WEST

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