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ワークステーションの復興なるか--「個人用クラスタ」システム登場へ

2004/08/30 19:39
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 Orion Multisystems(本社:カリフォルニア州サンタクララ)という新興企業が、内蔵する複数のチップでクラスタを構成する、新しいタイプのワークステーションを開発した。96基のプロセッサと192Gバイトのメモリを搭載するモデルは、高さが27インチ(70センチ弱)でデスクの下や場合によっては机上にも置けるほど小さい。また12基のプロセッサと24Gバイトのメモリ、1.4テラバイトのディスク容量を持つモデルはさらに小型で、幅が2フィート(約60センチ)、高さが4インチ(約10センチ)となっている。

  Orionの創業者Colin Hunterによると、このマシンを開発した狙いは、ワークステーションを復興させることにあるという。ワークステーションとは、デスクトップコンピュータの到来で自らのアイデンティティの大半を失ってしまったエンジニアリング用のコンピュータのことだ。

 「われわれは、1990年代に衰退したワークステーションというカテゴリを復活させようとしている」(Hunter)

 10〜15年前には、プロセッサを1ないしは2基搭載したSGIやIntergraphのワークステーションが、計算処理分野の最新技術を定義していた。オイルやガスのような資源探査を行う業者や「ジュラシックパーク」のような映画をつくったアーティストらが、数万ドルをはたいてこうしたコンピュータを手に入れることも珍しくは無かった。

 しかし、滅びてしまった恐竜を題材にした「ジュラシックパーク」の製作にSGIのマシンが使われたことが、不吉な前兆となってしまった。1996年にCompaq ComputerなどのPCメーカーが、Intelチップを使った廉価なワークステーションをつくり始めた。こうしたマシンの性能は、通常のデスクトップよりわずかに強力な程度だったものの、たちまち市場を制覇してしまった。

 「SGIやSunに比べると、Intelはずっと早いペースで最新製品を登場させていた」(Hunter)

 しかし、これと時を同じくして、クラスタの人気が高まり始めた。その結果、バックルームで処理される計算作業の割合が増えたことから、オフィススペースや電力供給の問題が生じる場合も出てきた。この問題に対しては、ブレードサーバやブレードデスクトップなどの技術を使って解決を図ろうとしている企業もある。

 「研究所全体をコンピュータ用のラックで埋め尽くすわけにはいかない」というのは、ローレンス・バークレー国立研究所にある全米エネルギー調査科学コンピューティングセンターのディレクターHorst Simon。同研究所では近い将来Orionのワークステーションを試験導入することになっている。「だれもデスクトップ機の性能改善の問題に取り組まなかったから、このギャップは広がった」と同氏は指摘する。

 ところで、96基ものプロセッサを誰が必要とするのだろうか。この質問に対してHunterは、まずアニメーション制作者を挙げた。現在、アニメ製作者は登場人物や情景をPC上でデザインし、その仕上げ作業にレンダリングファームにあるサーバのクラスタを使う、というやり方をしている。しかし、これでは最も高価な機材を他の目的に使うことができなくなる。デスクトップPCの計算能力が大きくなれば、アーティストは会社のサーバ資源を使いきることなく、さまざまなライティングやシェーディング効果を試せるようになる。

 「われわれは、レンダリングファームやバックルーム(にあるサーバ)にとって代わるつもりはない。そうしたシステムをもっと効率的に使えるようにしたいだけだ。われわれが現在直面しているのは、PCから引き出せる性能と、クラスタから引き出せる性能の間に大きな開きがあるという問題だ」(Hunter)

 Orionがターゲットとする市場は、映画製作、エンジニアリング、ライフサイエンスなどの業界だ。The BioTeamというSI業者は、12基搭載モデルをベースにした生物学や薬学研究者向けのシステムを販売する予定だが、これには200種類以上のアプリケーションが同梱され、すぐに使い始められるようになっている。

 12基搭載モデルでは、すべてのチップが1枚の基板上に収められている。各チップには専用のメモリとハードディスクが接続されている。一方、96基搭載モデルは、この12基のチップを載せた基板を縦に8枚積み上げた形になる。同一基板上のチップ同士はギガビットイーサネットで接続され、また基板同士は10ギガイーサネットでつながっている。

 このシステムには、オペレーティングシステムとしてFedora Linuxのバージョン2.6.6が付属する。

 Orion初のモデルとなるこのコンピュータでは、TransmetaのEfficeonプロセッサが採用されている。Transmetaではこのプロセッサの開発に関して何度も遅れが出ており、最近では当初計画したほどの数を今年は出荷できないことを認めたばかりだ。

 Transmetaのチップは、2000年の登場時に見られたわずかな例外を除いて、市場での普及がほとんど進んでいない。だが、同社の創業時に力を貸したHunterは、標準的なx86チップと比べて、Transmetaのチップは省電力で、限られたスペースに多くのプロセッサを押し込む場合などに向いているという。

 Orionはまた、自社のコンピュータに他のプロセッサを採用する方法も調べているが、ただしそのためにはプロセッサの動作速度を引き下げるか搭載するチップの数を減らすなどの必要があると、同氏は付け加えた。

 Hunterはまた「OQO」という新興企業の立ち上げにも力を貸したが、この企業ではWindows XPが動作する超小型PCを開発しており、今年中には最初の製品を発売すると見られている。

 Orionのデスクトップワークステーションの価格は、12基搭載モデルが1万ドル未満になる予定で、10月1日から販売される。また96基搭載のデスクサイドモデルのほうは、第4四半期の発売で価格は10万ドル未満。

 このコンピュータの製造はFlextronicsに外部委託される。またBattery Venturesなどのベンチャーキャピタルが、これまでに合わせて1200万ドルの資金をOrionに提供している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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