MDGrape 3のアーキテクチャは、他の大半のプロセッサとは大幅に異なっている。MDGrape 3は(プロセッサ内の組み立てラインに相当する)計算用のパイプラインを20本備えているが、一般的な商用プロセッサには1〜2本しかない。同プロセッサはまた、理研がブロードキャスト・メモリ・アーキテクチャと呼ぶ機構を備えている。同アーキテクチャは、データを異なるパイプラインに対して同時に振り分ける技術だ。
他のプロセッサとはいくつも違いのあるMDGrape 3だが、しかし製造については一般的なチップと同じ130nmプロセスで作られている。
こうした特徴をもつMDGrape 3には、汎用プロセッサと比べて大きなアドバンテージがある。350MHzで動作するGrape 3では、1ギガフロップあたりのコスト単価が15ドルであるのに、Pentium 4では400ドル、IBMのBlue Gene/Lが搭載するプロセッサでは640ドル、さらに現在世界最速のスーパーコンピュータであるNECの地球シミュレータでは4000ドルにもなる。
また消費電力の点でも、350MHz動作のGrape 3が14W(1ギガフロップあたり0.1W)であるのに対し、3GHzのPentium 4は82W(1ギガフロップあたり14W)となる。
理研では、MDGrape 3を搭載したコンピュータも設計しているが、このマシンには12基のプロセッサが1枚のボード上に並び、このボード2枚が3.5インチ厚の2Uサイズのボックスに収められることになる。搭載されるプロセッサはすべて互いに81bitバスで接続され、プロセッサを搭載したボードはコンピュータ内の他の部品とPCI Expressで接続される。
このペタフロップ級のコンピュータは、512枚のボードに搭載された合わせて6144基のプロセッサからなるクラスタになる予定で、合計32個の筐体を積み上げても、19インチの台座と同じ程度の高さにしかならないという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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