ナノテク研究開発費総額が2004年は86億ドルに増加--米調査

Michael Kanellos(CNET News.com)2004年08月16日 20時38分

 企業、政府、大学、その他の組織・機関の2004年におけるナノテクノロジー研究開発費総額が86億ドルに達する見込みだ。この総額全体に占める民間部門の比率は年々増加している。

 ナノテク業界について調査しているコンサルティング会社Lux Researchがまとめた同業界に関する年次報告書によると、2004年のナノテク研究費用の総額は2003年の推計額30億ドルと比べて2倍以上になるという。

 現時点でおよそ1500社が研究開発計画を発表しており、その中には新興企業1200社のほかに、GEやIntelといった大手企業が含まれる。

 「政府の支出が企業のそれを上回るのは2004年が最後だろう」と語るのは、Lux ResearchのマネージングディレクターF. Mark Modzelewskiだ。今年、各国政府はナノテク研究に46億ドルを投じると見られる。一方、企業のナノテク研究費総額は全世界で380万ドル縮小すると見られている。

 にも関わらず、投資家らは同業界への投資に慎重だ。ナノテク関連の新興企業に対する投資額は、2003年と2002年がそれぞれ3億2500万ドルと3億8600万ドルだったのに対し、今年は2億ドルにまで減少する見込みだ。毎年300万ドルの売上を誇る、代表的ナノテク企業のNanosysは最近、新規株式公開(IPO)を撤回せざるを得なくなった。投資金の大半は大規模な企業・団体が消費している。

 Nanosys、Quantum Dot、Molecular Imprints、Frontier Carbon、Catalytic Solutionsの5社への投資金が、ベンチャー投資額全体の22%を占めている。多くの新興企業は買収される運命にある、とModzelewskiは指摘する。

 ナノテクノロジーとは100ナノメートル未満のサイズの部品を使って製品を作る科学技術を指す(1ナノメートルは10億分の1メートルで、ギリシャ語で小人を意味する「nano」に由来する)。金やシリコンなど、多くの物質は、このレベルで新しい特性を見せ始める。

 多くのナノプロジェクトのもう一つの際立った特徴として自己複製が挙げられる。例えば、カリフォルニア州パロアルトを拠点とするナノテク関連の新興企業、Cambriosは、化学反応をコントロールすることによって電子機器の製造が可能になるとの確信を持っている。これは、無機ミネラルと、二枚貝から分泌される極めて特殊なたんぱく質との反応によって貝殻が作られるのと同様のプロセスだという。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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