ソフトウェア業界の売上不振は、新会計ルール施行が一因--米レポート

Dawn Kawamoto(CNET News.com)2004年07月13日 13時51分

 米国の証券会社Piper Jaffrayが12日に発表したアナリストレポートによると、ソフトウェア業界全般に見られる不振の一因は、企業各社のCFO(最高財務責任者)が、新たに導入されたSarbanes-Oxley会計ルールを遵守するための作業に忙殺され、新規のソフトウェアライセンス契約を結ぶ時間が取れなかったことだという。

 金融関係者は1年前、Sarbanes-Oxley法の施行によりIT投資が大幅に増加するとの予想を発表していたが、今回発表されたレポートではこの予想と全く対照的な評価が下された格好だ。

 「販売チャネルから得た情報によると、各社のCFOは今年末までに遵守の作業を完了させるために必要な検証や文書作成に追われているという。そのため、営業担当者が四半期の終わりに契約書への署名をもらおうとしても、CFOは(遵守のための作業に)圧倒されている状態だ」とPiper Jaffrayのアナリスト、David Rudowは述べている。「この先ある時点で、Sarbanes-Oxley法がソフトウェア販売に役立つ可能性はあるが、しかしいまはその時期ではない。問題は、それがいつかになるのかだ」(Rudow)

 2002年、EnronやWorldComのスキャンダルの後に議会を通過したSarbanes-Oxley法は、公開企業の会計手続きを投資家や監査機関にとって透明性のあるものにすることを目的としたものだ。この法律が施行された結果、各社のCFOやCEOは自社の財務データの正確さに関し、個人的に責任を負うことになり、また膨大な量の文書作成や情報の検証を求められるようになった。

 Rudowによると、ソフトウェアベンダーやコンサルタントらは、販売不振の原因としてSarbanes-Oxley法を3番目か4番目に挙げているという。だが、同氏は「この不振の原因として、Sarbanes-Oxley法だけを責めるわけにはいかない。もちろん、それも複数ある原因の1つだが、現在の販売不振はすべての原因が積み重なった結果だ」と注意を促している。

 Rudowによると、ソフトウェア分野は第3四半期も弱含みに推移し、四半期から来年にかけて若干の回復が見られるという。そして、各社が会計報告システムをSarbanes-Oxley法に準拠させるに従い、ソフトウェア販売を取り巻く環境も上向くと同氏は述べている。

 そして、企業各社は順次Sarbanes-Oxley法に準拠していく必要があるものの、将来CFOがこのプロセスに慣れるに従って、作業負担は軽減されるとRudowはいう。そうなれば、会計に関わる作業が大規模なソフトウェア購入契約の邪魔になることは無くなるはずだ。

 「ソフトウェア関連の大規模な案件が枯渇し、消滅しつつあるとは思わない。 Sarbanes-Oxley法関連の作業のせいで、先送りされているだけだ」(Rudow)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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