「デバイスとインフラ、両分野での経験が強み」:ノキアのエンタープライズ向けモバイルソリューション

藤本京子(CNET Japan編集部)2004年07月01日 20時17分

 ビジネス環境でニーズが高まる一方のモバイルソリューション。これまで主にコンシューマー市場に向けたモバイルソリューションの展開を行ってきたNokiaも、「企業ユーザー向けにモビリティを提供する」というミッションを掲げ、昨年10月にエンタープライズソリューションズ事業部を設立した。同事業部 上級副社長兼ジェネラルマネージャーのメアリー・マクドウェル氏は7月1日、都内にて会見を開き、「Nokiaはさまざまなモバイルデバイスとセキュリティインフラ製品を提供してきた。エンタープライズ分野でモビリティを提供するための基盤は十分にそろっている」と述べた。

Nokiaエンタープライズソリューションズ上級副社長兼ジェネラルマネージャーのメアリー・マクドウェル氏ン

 マクドウェル氏は、企業に対してモバイルソリューションを提供する際、「経営者、ユーザー、IT管理者の三者すべてが納得できるアプローチを取らなくてはならない」と述べる。「経営者はコスト効率のよいソリューションを求めるだろう。ユーザーは、シンプルで使いやすく、どこからでも情報にアクセスできることを重視する。一方のIT管理者は、安全でスケーラビリティがあり、管理性の高いモバイルインフラを望んでいる」と同氏は指摘し、異なる視点を持ったこれらの三者すべてにアピールすることが大切だとした。

 マクドウェル氏の主張は、Nokiaにはモバイルデバイスとインフラの両分野において豊富な経験があるため、モバイルソリューションの提供において課題となるセキュリティ問題や、機器の多様化によるサポートの複雑さ、混在したワイヤレスシステム環境などに対応することが可能ということだ。さらに、同社は携帯電話で世界的に強固なモバイル市場の基盤を築いていること、また日本では特にファイアウォール製品が好調であることなどから、顧客へのアプローチが容易であることも述べている。

 Nokiaは、日本における携帯端末市場では国内メーカーに押され気味だが、海外ではコンシューマー向け端末のみならず、ビジネス向けにバックオフィスアプリケーションへのアクセスが可能な携帯端末Communicatorや、電子メール端末としても使えるMessaging Deviceなども提供している。これら製品の販売動向や日本市場への投入については明らかにされなかったが、さまざまなビジネスニーズに対応できる準備があることをマクドウェル氏は示している。

 インフラ部分では、ファイアウォール製品以外にも、ウェブコンテンツなどを携帯端末用に再フォーマットするNokia One Business Serverや、現在販売が好調だというSSL-VPN製品のNokia Secure Access Systemなどがあるとし、「モバイル環境での安全なアクセスを提供できる」とマクドウェル氏。なお、同社は同日、Secure Access Systemの最新バージョンを発表しており、コンフィギュレーションレプリケーション機能やシングルサインオン機能を追加している。

 現在マクドウェル氏の率いるエンタープライズソリューションズ事業部は、「Nokiaの全事業部の中で一番成長率が高い」としており、昨年設立されたばかりだが、目標として「今年度中には全社の売上の5%をめざす」という。また同事業部は、2005年までの黒字化達成を目標としているという。

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